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もしかして本物?FacebookCEOも被害にあった偽装動画の実態

2019年6月11日にFacebookCEOマーク・ザッカーバーグ氏が写る動画がInstagramにアップされました。内容は、「データを持つものが世界を牛耳る」といったもので、Facebook社のイメージ悪化に繋がりかねないものでした。実はこの動画、本人ではなく、偽装された動画だったのです。今回は、偽装動画や画像のディープフェイクに迫ります。

偽装動画 ディープフェイクとは?

「ディープフェイク」とは、動画に映った人物の顔を入れ替えたり、本来とは違う発言をさせたりと、動画や写真を不正に加工することを指します。一見すると、まるで本人が身振り手振りを交え話しているように見えるディープフェイク動画ですが、それらを簡単に作成できるアプリの開発や、加工を安価に請け負う企業も登場しているようです。

一見、専門的な編集技術が必要そうですが、人工知能(AI)技術により制作は、簡単であるという情報もあります。

FacebookCEOマーク・ザッカーバーグ氏が写るディープフェイク動画

 

WSJでは、ディープフェイクに対抗するために、国家を上げて取り組んでいることが紹介されています。

「ディープフェイク」と呼ばれる不正に加工した動画や写真に対抗しようと、スタートアップ企業や政府機関、大学がこぞって取り組んでいる。(中略)米国防総省は、動画や写真が加工されたものかどうかを見分ける法医学技術を研究している。光や影、カメラのノイズなど写真や動画の不整合な箇所を基に動画が加工されたものかどうかを判別する技術だ。

引用元:WSJ|ディープフェイクの偽画像、見破る技術で開発競争

5Gの普及で動画の市場は拡大する

韓国やアメリカが先行して進めている5Gは、私達の生活により一層動画を普及させるものです。SNSを見ると、最近は画像の投稿ではなく、動画の投稿を頻繁に見かける方も多いのではないでしょうか。

サイバーエージェントが発表した国内動画広告の市場動向調査によると、日本国内の動画広告市場は134%の成長で、1,843億円の市場にまで成長しているとのことです。更に、2020年には、市場規模は、2018年の150%以上の成長を遂げ、2,900億円まで拡大すると予測されています。

政治にも影響?

先日実施された日本の参議院選挙でも、多くの政党や候補者がSNSを活用していました。画像だけでなく、自らの講演の様子や遊説先のオフショットなどの動画を見た方も多いのではないでしょうか。
2013年に選挙でのSNSが解禁されて以降、テキストの発信に留まらず、画像や動画での発信を積極的に取り入れる政治家が増えています。

このような政治家のSNS活用は、日本だけでなくアメリカなどの様々な国でも活発です。メディアを通すことなく、自らの考えを発信するために、有用なツールとして、活用されています。
特に、関係者が政治家の様子を撮影し、SNSに掲載するケースも増えています。このような動画自体の増加が、ディープフェイク動画であることを見破る足かせになる可能性も否定できません。

管理しきれないほどの動画で溢れている状況で、ディープフェイクの動画が配信されていないかモニタリングし続けることは、非常に難しい時代になっていると言えます。

何を信じていいのか分からない

政治の面だけでなく、企業のブランドイメージ低下などに使われる可能性もあります。
大袈裟かもしれませんが、ディープフェイク動画の活用により、経営者(実際には赤の他人ですが)による誤った事業戦略の発信がされれば…
知らぬ間に株価の下落や重要な商談の消滅が起こり得ることも考えられます。

昨今、フェイクニュースが世界の大きなリスクとして挙げられていますが、テキストの情報だけでは誰が書いたのか分からないということから、真偽や信頼性が担保できない時代になっています。
だからこそ、誰が発言しているのかが分かる動画は情報の信頼性を確かめる方法であり、一つの有効な発信の手段に変わってきました。
しかし、ディープフェイクの誕生により、今後「テキスト」だけでなく「動画」という情報も真偽や信頼性が担保できない時代に変わっていく可能性があります。

情報が溢れる時代を生き抜くためには、意思決定するための情報は、自ら裏取りして、後悔しない選択肢を選ぼうとする姿勢を持ち続けることが大切かと思います。

その情報、本当ですか?ネット上の情報は信頼していいのか? みなさんは、知らない人物や物事について調べるとき、どのようにして調べますか? とっさに、google検索やSNSで検索する方が...

参考資料
サイバーエージェント、2018年国内動画広告の市場調査を実施 サイバーエージェント(2018)

【執筆】奥村高大 (おくむら たかひろ)
同志社大学卒業後、銀行に就職。その後、企業の経営課題解決を目的とするフリーランスのシェアリングサービスに従事し、2018年にエルテスに入社。事業推進Grにて、マーケティング業務だけでなく、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。

この記事を書いた人

デジタルリスクラボ編集部
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