USJの再建を成し遂げた森岡毅氏、資生堂の前CMO音部大輔氏を輩出したP&Gで「ファブリーズ」「レノア」を担当後、「ジレット」のブランドマネージャー佐宗邦威氏の著書「直感と論理をつなぐ思考法」が話題となっています。今回は、企業のマーケティング担当者必読の「直感と論理をつなぐ思考法」から考える現代のSNSの特徴について、考察してみたいと思います。
※本記事は、2019年5月23日に公開された記事を一部再編集しております。
「直感と論理をつなぐ思考法」とは?
彼らは、この途方もない「妄想」からどのように、ヒト・モノ・カネを動かし、妄想の実現に近づけてきたのでしょう?
その思考のモードが「直感と論理をつなぐ思考法」です。
本著では、「自分モード」の時間が少なくなってしまうと、自分のやりたいことが見えなくなってしまっているケースが多いと述べています。
私達の日常は、「他人モード」に支配されている、と言えるでしょう。
また、「世の中のたいていのことには『正解』がある」という考えのもとで、ロジカルに物事を考え、ボトルネックの改善を行うことが、ビジネスの現場で好まれてきました。大きな問題を小さく分解し、分解された要素をKPIに設定し、PDCAを回し続ける。これは、誰かが決めた「ゴール」に接近を目指す際に、有効な手段です。このような世界を本書では、カイゼンの農地と呼んでいます。
しかし、VUCA時代は、「そもそも答えがない」時代の到来であり、新しいゲームを作る能力が求められていると筆者は語っています。答えのない時代の中で、直感から生まれる発想が重要であり、いかに直感を具体的な姿まで落とし込むこめるか、が新時代に必要な思考法だと紹介しています。
「他人モード」が支配する社会、SNS
「自分モード」で考えられない要因の1つとして、「独自性が足りない」という指摘があります。私達の生活の当たり前となったSNSには、他者の評価を可視化する「いいね!」という機能があります。皆さんもタイムラインに上がってくる投稿に「いいね!」などのリアクションをすることも多いと思います。
「いいね!」のリアクション自体についても、投稿そのものに感動したりして、リアクションするケースと、投稿しているユーザーに、「見ているよ!」という証拠として、リアクションを行うケースもあるのではないでしょうか?このような行動も、「他人モード」の象徴的な行動なのかもしれません。
「他人モード」の中で生きる方が多い現代において、正解を探しながらSNSを活用している、というのが実態と言えそうです。
「直感と論理をつなぐ思考法」から学ぶマーケティングにおける「自分モード」
P&Gマフィアとして世間を席巻するマーケティング軍団で育った筆者は、カイゼンのマーケティングに限界があると述べています。マーケターのミッションは、顧客のニーズやウォンツを拾い、その課題を解決することで売上が生まれる仕組みを作ることかと思います。だからこそ、「他人モード」で考えている時間も多いのではないでしょうか。
しかし、「他人モード」には、行き詰まったり目的を見失ってしまった際、原動力を失う可能性もあります。「他人モード」で仕事をする時間の多いマーケターだからこそ、「自分モード」の時間を大切にして、創造的な仕事をすることを意識してみてはいかがでしょうか?
「自分モード」から生まれた妄想は、VUCA時代の市場を動かす戦略となるかもしれません。
■参考文献:
「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」佐宗邦威著(2019年)ダイヤモンド社
【執筆】奥村高大 (おくむら たかひろ)
同志社大学卒業後、銀行に就職。その後、企業の経営課題解決を目的とするフリーランスのシェアリングサービスに従事し、2018年にエルテスに入社。事業推進Grにて、マーケティング業務を中心に、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。
デジタルリスクラボ編集部
デジタルリスクラボは、株式会社エルテスが、デジタルリスクから「企業成長」と「個人のキャリア」を守るためのメディアとして運営。株式会社エルテスが提供するデジタルリスク対策サービスは、こちら。