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変わるマイナンバー活用、備えるリスク

2019年3月15日、政府は行政手続きを原則として電子申請に統一するデジタルファースト法案を閣議決定しました。2016年1月よりスタートしたマイナンバーの活用も大きな転機を迎えることになりそうです。今回は、変わるマイナンバーの活用にスポットを当てます。
※本記事は、2019年4月18日に公開された記事を一部再編集しております。

マイナンバーカードとは?

2016年1月にスタートしたマイナンバーカートですが、想定以上に普及が進まず、政府内でも様々な普及策が検討されています。そもそも、マイナンバーカードとはどのようなものなのか振り返ってみたいと思います。

マイナンバーカードとは、

パスポートや運転免許証などと同じ、写真付きの身分証明書です。
申請すれば無償で交付されます。例えばクレジットカードの申込み、銀行、郵便局、レンタルビデオ店の入会申込など、本人確認が必要な様々なシーンで活用することができます。

また、e-tax等の電子申請等が行える電子証明書も標準搭載されます。

マイナンバーカードの表面には、氏名・住所・生年月日・性別・顔写真といった基本情報が記載され、裏面にマイナンバー(個人番号)が記載されます。

行政手続きの電子化が加速

今回のデジタルファースト法案は、行政手続きの電子化を加速させます。
具体的には、今年度中に引越しに係る手続きをネット上で一括入力出来るなどのように、一つの手続きの情報が複数に反映されることを想定しています。

仕組みは、住民票を移転する際にネットで名前や住所を入力すると、その情報が電気などの公共料金の契約にも転用されるというものです。引っ越しの際には、複数の手続きが必要かつヌケモレが発生し、困った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

一方、行政側も、手動で行っていた複数の業務を集約し、生産性の向上に繋げることが、一億総活躍社会を目指し、生産性の向上に取り組む政府の狙いでもあります。デジタル化出来る部分はデジタルでスムーズに対応していこうと、政府が本腰を入れている姿が伺えます。

今後、さらなる電子化の鍵をにぎるのは、マイナンバー通知カードを廃止し、移行が進んでいないマイナンバーカードへの引き換えの促進です。

なぜデジタル社会への移行が必要なのか

政府の目指す行政手続きの簡便化が実現するデジタル社会に、マイナンバーカードの活用は必要不可欠です。
今後は、マイナンバーカードに保険証の機能を搭載することや、医療費控除の手続き、確定申告との連動機能への拡張も検討されています。

行政の基本原則として定められたデジタルファーストは、国民全体の煩雑な手続きを削減し、行政の生産性向上にも繋がります。複数の書類作成や同様の内容を複数の窓口に提出することで、国民の余暇時間も、行政の業務時間も圧縮することが出来ることは、大きなメリットです。

一方でリスク対策も重要である

行政側の視点でいくと、組織を超えてIDで紐づけられた情報をどのように管理するのか、また、その管理の責任所在が非常に重要になると思われます。

一方で、個人も、機能が集中したマイナンバーカードをどのように管理し、情報流出を防ぐかは、考えなければならない問題となります。

Fintechの領域では、QRコードの活用が進むように、コードを見ただけでは個人や情報が分からない手段が普及しつつあります。カードという手段に頼らず、個人それぞれのQRコードと本人に割り当てられた暗証番号を入力する等の情報の暗号化なども検討しなければ、デジタル社会の便利さ故にリスクは増大する可能性があるかもしれません。

マイナンバーが発行された当時、番号の漏洩に危機感を感じ、使わずにタンスの中にしまったという人もいるかと思います。もし、番号が漏れれば、どのようなリスクが生じるのか、また、その際の対策をどのようにすべきなのかをしっかり理解することが安心安全で便利なデジタル社会に必要な事かもしれません。

【執筆】奥村高大 (おくむら たかひろ)
同志社大学卒業後、銀行に就職。その後、企業の経営課題解決を目的とするフリーランスのシェアリングサービスに従事し、2018年にエルテスに入社。事業推進Grにて、マーケティング業務を中心に、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。

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