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米国ビザ申請時にSNSアカウント情報提供義務化?変わるSNS社会

アメリカ国務省が2019年5月末にビザ申請時にFacebookやTwitterといったSNSのアカウント情報を提供することを義務化しました。アメリカに本社を構える企業が運営するFacebookのようなSNSだけでなく、中国のウェイボなどのSNSアカウントも対象となります。今回は、この影響でSNSの使用方法がどのように変化するのか考察してみたいと思います。
※本記事は、2019年6月21日に公開された記事を一部再編集しております。

SNSを活用して、犯罪を防ぐ?

今回の情報提供の義務化ですが、90日以内の商用・観光目的の入国に関しては、ビザの取得は不要な私達、日本人がすぐに大きな影響を受けることは低いと想定されています。しかし、世界で見ると1500万人に影響を与える可能性があるとしています。
今回の措置は、トランプ大統領がアメリカへの入国者に対する審査について2017年に出した覚書と、同時期にイスラム教国からアメリカへの入国を規制する目的で出された大統領令の条項に基づき、実施されました。背景には、2015年にカリフォルニア州で起きた銃乱射事件の容疑者が、事前にFacebookで「イスラム国」の指導者に忠誠を誓う書き込みなど、SNSの監視が、テロ行為の未然防止に有効であるという考え方があるようです。

SNSによる身元調査は現実的なのか

SNSの情報といえども、様々な情報があります。家族や年齢、出身校などの経歴に関する基本情報から、好きなアイドルなど趣味嗜好までニッチな領域まで、多岐に渡ります。今回の措置は、仮にイスラム国(IS)などの情報を、SNSで「いいね!」一度しただけでも、入国拒否に繋がる可能性もあり、ブラックボックス化する可能性も否めず、

また、SNSでの身元調査は、その行動の背景は不透明で、すべての判断が憶測に過ぎないことがリスクです。情報の断片だけが切り取られることは、デジタル社会のリスクとも言えます。

ここで、SNSから得られる情報を整理してみましょう。

タイムラインへの発信の内容

オープンな環境への発信内容であり、繋がっているユーザーは、アクセスできる情報です。SNSでプライベートな発信を行っているユーザーのプロファイリングには、有効な手段となりうるでしょう。
ただし、SNSでの発信はユーザーの全てではなく、一部であることを忘れてはなりません。

クローズドな環境でのやり取り

タイムライン上で、公開するユーザーを限定するケースや、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)を活用した情報交換は、表面的なアカウント調査では、抽出することは出来ません。

フォローの情報

アメリカの前大統領オバマ氏も指摘していますが、SNSのタイムラインはパーソナライズ化が進んでいます。それらは、どんなユーザーや法人ページをフォローしているかに依存しています。タイムラインは、自分の意見に合うフィルターを通した情報だけに囲まれる可能性あり、世の中全体が同じような自身と同じような意見の人ばかりであるという、錯覚に陥るリスクもあります。そのため、タイムラインに影響を与えるフォロー情報をプロファイリングすることは、非常に有効な手段に思えます。
一方で、情報は芋づる式で連なっているため、情報の深さの観点で基準が判定結果に影響を及ぼします。

SNSアカウントの監視の弊害は起きないのか。

今、若者の間では、アカウントを目的にあわせて複数持つことが当たりまえになっています。Twitterのアカウントは、保有個数に制限はなく、個人の意見が色濃く反映されたアカウントを提供せずに、異なる自身の当たり障りのないアカウントを提供することも可能です。
安全であるという判断の元で、入国が許可されますが、かえってその安心が大きな事件に繋がる可能性もあります。

また、Facebookが普及するまで、基本的にSNSとリアルは結びつきが弱いものでしたが、リアルなビジネスの場で個人がSNSを活用するケースなども普及しています。トランプ大統領のSNSなどの活用は、象徴です。しかし、今回のようなSNSのプロファイリングが当たり前の時代になるとき、多くの人々は自分自身の見えない部分を暴かれることを恐れ、SNSでの匿名性を強める可能性もあります。

国家や企業による個人情報の取扱と人権の保護のバランスは、デジタル社会のあり方を左右する大きな要因となりそうです。その意味では、今世界は大きな転換点を迎えているのかも知れません。

この記事を書いた人

デジタルリスクラボ編集部
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