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そのECサイト本物?クレジット情報漏洩に繋がる偽ECサイトの実態

2015年「アジアの10ヵ国の若者調査」によると、若者の生活の中にインターネットが欠かせないものになりつつあることが明らかになりました。また、インターネットの使用時間と共に、EC(オンラインショッピング)の利用も普及しています。このような背景から、今回はECに潜むデジタルリスクを考察してみたいと思います。
※本記事は、2015年1月30日に公開された記事を一部再編集しております。

若者の消費行動

日本を含めて、アジア諸国では、インターネットの普及が急速に進み、1日の多くの時間をインターネットに接しながら生活しているという調査結果が出ています。
また、クレジットカードを保有するアジアの20代が64.1%であることも明らかになっており、Webで買い物をするECの利用は、拡大していく可能性が高いと想定されます。

アジア全体でもインターネットを通じた購買活動が活発になる中、一部悪質な「なりすましECサイト」も存在しているようです。
需要が拡大している領域では、悪質な犯罪も起きやすくなるのが世の常ではあります。今回は市場が拡大するECサイトの実態とその問題について考えてみました。

「偽ECサイト」の被害実態!

一般社団法人セーファーインターネット協会のHPによると、「偽ECサイト」とは、下記のようになります。

実在するサイトの外観(屋号、商標、サイト意匠・構成、使用している画像等)を模倣することにより、あたかも当該サイトである又は当該サイトと関係のあるサイトであるかのように消費者を誤認させ、商品代金をだましとったり、模倣品、海賊版その他購入しようとした品と全く別個の物を送りつけるサイトを指します。

つまり、不当に金銭を取得することが目的の詐欺行為が行われるサイトです。また、こうした詐欺サイトでの被害は拡大しています。
2011年…262件
2012年…1,036件
2013年…3,829件

日本通信販売協会によると、ECサイトの被害件数がこの3年間で約15倍に増加したそうです。
また、トレンドマイクロ社のレポートによると2014年上半期には、5,596件の「偽ECサイト」が発見されています。
企業や個人が高級ブランドの“コピー商品”を安価な値段で販売し、警察に摘発されているそんなニュースを覚えている人は多いのではないのでしょうか。
従来のECサイトでの詐欺に多かった手法です。
最近では、実際に商品を販売するそのような手法は、商品を引き渡す際に、身元が割れるリスクがあるので、あまりおこなわれておりません。
では、どういった手法を用いているのでしょうか。

変わるトレンド

実は、楽天などのECサイトと見た目そっくりのWEBサイトやドメインを取得して、あたかも本物店舗かの様に振る舞い、商品を購入させ、商品そのものを発送しない。完全な詐欺行為を行うことがトレンドとなっています。

「買ったものが届かない!」といったクレームが真似をされた事業者に届くこともよくあるそうです。

「偽ECサイト」は誰が解決すべきなのか?

ECの利便性を感じている人は多いと思います。
日本国内に目を向けると、経済産業省は2013年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は11.2兆円(前年比117.4%)との統計を公表しており、堅調に成長しています。今後も市場拡大は間違いなく、ECサイトはなくてはならない存在になっていくはずです。

自動車が増えることによって、交通事故が増えるのと同様に、EC市場の発展に伴い、消費者への詐欺被害が拡大していくのであれば、それなりの規制を設けなくてはいけないのかもしれません。

どのようにその被害を抑制し、また、そのコストを支払うは誰であるべきなのでしょうか。

もちろん、こうした悪質な「偽ECサイト」を作成し、詐欺を働いている人たちが責められ、取り締まられるべきことなのですが、近年のインターネット上のこうした詐欺行為は、サイト運営者の情報が高度に隠されているため、本人の特定が困難です。

そのため、具体的には、上記の誰かが対応しなくてはいけなくなります。

①消費者

②EC市場関係企業

③行政

①消費者の場合

詐欺被害を回避するために、一般消費者が電子商取引に関する知識をしっかりと勉強し、真偽の判別を行えるようにすること以外に方法はないでしょう。但し、巧妙化する詐欺手口全てに対応することは難しいと言わざるを得ないかもしれません。

そのため、いくら勉強しても回避できないケースには、やはり詐欺の被害にあい、損害を被ります。

②EC市場関係企業の場合

現在、ECサイト上で自社商品を販売している上場企業のいくつかの会社は、実際に、自社が運営しているECサイトにそっくりなサイトが作られていないかどうかを監視しています。しかし、自主的にそうした「偽ECサイト」を探すのは体力のある会社のみとなり、自社以外のサイトまで監視を行うことはしないでしょう。

また、企業によっては自社が「偽ECサイト」を監視するコストをわざわざ払いたくないというところもありました。

本来は、自分たちが利潤を得ている市場なので、それに伴う一般消費者の損失を最小化するための社会的費用を負担することも必要なのではないでしょうか。
残念ながら現在のところ、利潤を追い求めるが企業が自ら進んでコストを支払うのには後ろ向きの様です。

③行政の場合

行政がその役割を担う場合、多くの場合が法規制や行政指導を通じて、企業側に責務を付与することと同時に、一般消費者に対してそうしたリスクの啓蒙活動を行うことになります。日本では消費者庁がECサイト利用に関する注意喚起をHP上で行っています。

平成25年度消費者政策の実施状況によると、2013年度のインターネット通販に関する相談件数は50,364件で、そのうち「被服品(財布類、ハンドバッグ、履物等)」と「教養娯楽品(腕時計等)」に関する相談が占める割合は、66.9%もあったそうです。

法的に規制を行うことは産業の成長を阻害する要因になりかねませんので、EC関連事業者が自主的にこうした事態に対応をとるように促すとともに、消費者に向けて偽ECサイトの存在を知ってもらうための活動が必要かもしれません。

安心安全なEC市場実現のためにできること

これまでをまとめると…

消費者にとっては、
「偽ECサイト」が出回ると利便性の高い電子両取引を安心して利用することができなくなってしまう。

企業にとっては、
自社の「偽ECサイト」で被害が生じるとネット上で悪評が生じて、顧客離れを引き起こしてしまう。

行政にとっては、
EC市場を今後も成長させていきたいが、法律で厳格に「~してはいけない。」「~しなくてはいけない。」と定めると成長を阻害してしまう可能性がある。

そのため、
①行政(この場合は消費者庁か総務省?)がEC関連事業者に対して、自主的に「偽ECサイト」に対する取り組みを行うように促す。また、消費者に対する啓蒙活動を最低限行っていく。

②それを受け、EC関連事業者が「偽ECサイト」への対応として、コピーできないような仕組み、若しくはコピーされても直ぐに偽サイトを発見できる仕組みを自主的に構築する。

③EC関連事業者に頼り切るのではなく、消費者も偽サイトの存在やその見分け方を学び、少しでも怪しいと感じたら利用を控える等のWEBリテラシーの向上を日々行う。

上記のように、消費者と企業と行政がそれぞれコストを分担していくことができれば、EC市場は今後も健全に成長し続けることができ、消費者も安心安全で利便性の高いサービスを享受することができるようになるのではないでしょうか。

考えれば考えるほど難しい問題ですが、何よりも重要なのは、「偽ECサイト」を社会的な問題としっかりと認識することだと思います。

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デジタルリスクラボ編集部

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