特別企画

【セミナーレポート】デジタルが変えてきたこと、そして変えていくこと

いつでも、どこでも仕事が出来る環境を支えるデジタル。マーケティングもデジタルマーケティングという領域が誕生し、デジタルは私達の生活やビジネスの環境では軽視することが出来ないものとなりました。今回は、「デジタルが変えてきたこと、そして変えていくこと」と題したセミナーを2019年8月8日に実施しましたので、その内容をハイライトでお届けします。

「危機感」を通り越して「悲壮感」

セッションでは、株式会社エルテス 取締役の丸岡が登壇。

たぬきくん
たぬきくん
丸岡は、電通デジタルのデジタル化(電通デジタルの立ち上げ)、クライアントのマーケティング領域のデジタル化のミッションのもと、初代電通デジタル社長に就任した経歴を持ちます。

冒頭、2017年に日本システム・ユーザー協会、野村総合研究所が行った調査(回答者:JUAS会員企業 のCIO、IT部門・業務部門・経営企画部門・デジタル化推進部門の役員・管理職、ならびに情報 システム子会社の社長、役員、管理職の方々165名)を元に、経営層がデジタル化をどのように捉えているかをご紹介。
※出典 「日本企業のデジタルビジネスに関する共同調査」日本システム・ユーザー協会、野村総合研究所(2017)

デジタル化の進展が既存ビジネスに破壊的な影響があると、7割以上が回答したという結果や、9割が欧米に比べて、日本企業のデジタル化は遅れていると回答していると紹介。

このように欧米よりも遅れを取っていることから、今後もデジタル化が進んでいくことが読み取れる。
さらに、既にビジネス環境で変化を生み出しているデジタル化ですが、日本が後発であることも考慮して、将来的により大きな影響が起こりうることを考えると、「危機感、を通り越して、悲壮感」まで感じていると丸岡は述べる。

 

デジタル化の3つの衝撃

デジタル化について、巨大隕石の衝突や黒船の到来など、様々な表現があるが、それらとは少し異なると述べます。
マーケティング業界では、広告がカラーになったなど多くの変化を経験してきたが、デジタル化は今までの変化とは異なる3つの衝撃が存在したと丸岡は語ります。

意思決定の増加~高速化の衝撃~

「予測して管理」から、「測定して対応」への変化

ビジネスのスピードは格段に上がっている。市場調査や動画制作にかかる時間は、おおよそ1/100にまで短縮されており、企画する時間の短縮が進んでいる。また、より効果的、効率的に施策を実施するためにデータを測定しながら対応する。結果的に、意思決定の回数が増えたと語ります。

また、デジタル化に適応し、機敏に対応するために組織全体に体質改善、進化が必要であると述べます。トップと同じ認識(社員全員が同じ認識)を持つための企業のミッション・ビジョン・バリューの浸透も重要である。認識の統一が高速化の中で良い意思決定を作り、組織として良い方向に進むための基礎を作ることが経営において重要になったと説明します。

たぬきくん
たぬきくん
デジタル化が、意思決定の頻度を上げていることは想像できたけど、人事の領域、さらにデジタルとは対極にある企業のミッションやビジョンにまで影響を与えていたのか・・・。今まで体系的に理解できていなかったけど、腹落ちしました。

協力先が競合先?~異種格闘技の衝撃~

また、企業の繋がりにも変化を与えているとも語る。
広告業界は伝統的に電通G、博報堂G、ADKGを中心とした市場でしたが、デジタル化が進むことで、コンサルティング会社が競合になりうるケースが生じてきた。その後、営業管理の領域とも密接に関連するようになった。また、Webサイトの制作のために、Sire企業と競合するケースや、サイバーエージェントのようなWeb専門の広告代理店、マーケティングと結合するCRMツールのベンダーも登場した。

つまり、デジタル以前は、競争相手も協力先も決まっていて、明確な業界の違いが存在した。しかしデジタル時代は、「異種格闘技となった。競争相手は、以前の協力先となることもある」と説明し、コンペや営業の手法も異なり、伝統的な手法にも混乱が生じてきた。

このような異種格闘技の難しさは、思わぬ業界から競合が発生し、全く異なるビジネスモデルの企業を相手とするケースを想定しなければならなくなったと丸岡は語ります。

たぬきくん
たぬきくん
インダストリーコネクテッドは、デジタル化も深く関連しているということですね!

伝統がジレンマに?~新種誕生の衝撃~

外部環境の変化に合わせて、企業が求める人材にも変化が生まれてきた。具体的な例として、クリエイティブテクノロジスト、データサイエンティスト、デジタルマーケターなどが挙げられる。

このようなスキルを兼ね備えた人材は、稀有であり、獲得することも難しい。
一方で、社内で教育することも難しい。仮に、人材を獲得できても、既存の給与体系との相違や、新たな人事制度が必要になるという新しい課題が生じる。

このような状況下では、伝統がジレンマ、ネックになると丸岡は言う。

激変の時代がやってくる

デジタル化は、「巨大の隕石の衝突である」や「黒船がやってきた」「ドミノ倒し」など様々な表現をされているが、海では友人だった相手が、陸では敵にもなりうる世界であると語りながら、丸岡は下記のような表現で説明した。

「デジタル化は、地球環境が変化し、両生類が上陸した。これからは、陸上生物として暮らしていく。ここは、いままで慣れ親しんだ海での生活とは、全く違う世界だ」

また、少し違う表現では、アフターデジタル(2019)で上手く表現されていると語り、紹介。

【ビフォアデジタル】
リアル(店や人)でいつも会えるお客様が、たまにデジタルにも来てくれる。

【アフターデジタル】
デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアル(店や人)にも来てくれる。

出典:「アフターデジタル」藤井保文、尾原和啓(2019)

デジタルの中の世界にリアルが包含されている社会が実現されていくであろう。
また、デジタルの企業がリアルへ進出する際に、リアルに進出するという考え方ではなく、デジタルで実現していた世界をリアルでも再現できる環境(デジタル化)が整っているから、リアルへの進出を自然と行っていると述べている。

最後に、丸岡はデジタル社会を恐れるのではなく、抵抗するのでもなく、新しい環境になれることが重要であると述べた。

たぬきくん
たぬきくん
90名を超える方にお申し込みいただき、ありがとうございました!

参考資料:
「日本企業のデジタルビジネスに関する共同調査」日本システム・ユーザー協会、野村総合研究所(2017)
「アフターデジタル」藤井保文、尾原和啓(2019)

この記事を書いた人

デジタルリスクラボ編集部
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