2019年4月から働き方改革関連法が順次施行されています。社会的にもブラック企業への風当たりは強くなるばかりです。そこで、今回はブラック企業という評判が、消費行動にどの程度影響を与えるのかをアンケートで調査してみました。
※本記事は、2014年12月17日に公開された記事を一部再編集しております。5年前にアンケートを実施しているため、世論に変化がある可能性もあります。
ブラック企業とは
真偽はともかく世の中にはブラック企業と揶揄されて、売上や採用に大きなダメージを受けている事例もあります。
皆さんは、ブラック企業と揶揄されている企業のサービスや商品を購入しますか?
ブラックかどうかを問わず、自分にとって良いものであれば利用したいと思う場合も、そこで働いている人の気持ちを考えると利用しない人もいるのではないでしょうか。
そこで、ブラック企業が提供しているサービスや商品を利用するかアンケートをとってみました。
100人にアンケートを実施
【質問】
「ブラック企業」と言われているところのモノを買ったり、 サービスを利用する?
【回答数】
買う・利用する:61
買わない・利用しない:39
サービスや商品を利用する人は約6割!
アンケートの結果によると、約6割の人がブラック企業の提供しているものを利用すると回答しました。良いものは継続的に利用したいという声がありました。
・どこがブラック企業なのか消費者側はわからないと思うから。本当に必要だと思ったらどこのものでも利用すると思う!
・どこがブラックなのか分からないし、知っていたとしても、モノやサービスが良ければ利用すると思います。
・ブラック企業はその企業で働いている社員は大変だけれども商品やサービスが劣っているとは限らないので気にせず利用します。
・中に入ればブラックかもしれないが、利用するほう側からしたらサービスが行き届いているとも考えられるのではと思う。
消費者側からはどこが「ブラック企業」かわからない、「ブラック企業」という噂に囚われず商品の質をみて利用する、品質が良ければどこのものでも問題ないという回答が多くみられました。
また、ブラック企業だからこそ手の込んだ商品を提供しているのではないかという、経営者目線の回答もみられました。
商品やサービスが劣っているとは限らないという回答にもあるように、たとえ利用したものがブラック企業のものだったとしても満足するモノ・サービスであれば利用するユーザーが多いということが分かりました。
そこで働いている人のことを考えると利用する気になれない?
一方で、約4割の人がブラック企業の提供しているものは利用しないと回答しました。
・買わない、利用しないことでできるだけ利益が出ないようにしてブラック企業の倒産に少しでも繋がればいいなと思うから。
・なんだか、自分もブラック企業に加担しているような気持ちになるので、利用はしたくありません。
・トラブルに巻き込まれたくないし、そんな所に良いモノはないと思うからです。
・値段や質で選びたいところだが、良い品だと思っていたがブラック企業とわかると企業自体の姿勢がその品にまで現れてしまうような気がします。
トラブルに巻き込まれたくない、そんな所に良いモノはないと思う、ブラック企業の倒産に少しでも繋がればいいといった、「ブラック企業」という言葉に対する「悪いイメージ」を持った回答が多くありました。
自分もブラック企業に加担しているような気持ちになるという回答にもあるように、自分にとって商品やサービスが良いものかどうかよりも、ブラック企業で作られているものを利用していることでブラック企業の利益を上げていることに繋がるのではないかと感じていることがうかがえました。
商品やサービスを利用するにあたって、やはり「ブラック企業」と噂されている企業のモノを利用・購入するのは抵抗があるということが分かる結果になりました。
企業努力が「ブラック企業」を創る?
今回のアンケートでは、「ブラック企業」と噂される企業に向けられる視線を消費者の立場から考察してみました。
約6割の消費者は商品の相対的な低価格や高品質に魅力を感じています。また、そうした企業努力が企業の「ブラック企業化」につながっていようとも、自身の効用最大化の目的の前には、そうした現実に無関心にならざるを得ないようです。
一方で4割の消費者が「ブラック企業」への加担を回避しようと購買行動を控えるのは、「ブラック企業」のイメージが世論的に形成されてきている影響が考えられます。しかし、その企業が提供している商品やサービスが必ずしも質が低いと考えている方は殆どいませんでした。
「より良い商品・サービスを低価格で世の中に」と掲げ、突き進む企業努力が、いつの間にか「ブラック企業」を作り上げてしまっているのかもしれませんね。
また、噂というものはいつの時代も、どこの企業につきまとうものです。
SNS時代が到来し、誰でも容易に発信することが可能になったことで、外部環境は大きく変化しています。以前に比べて、Web上の情報量が増え、噂(確証がない情報)が増えていることは間違いありません。
事実、経営者や広報、危機管理の部門で働く人達も、自社の全ての状況を完全に把握することは難しいのが現状です。だからこそ、ときに噂にも耳を傾け、周りからどのように見られているのかを理解することも重要です。
そして、なぜそのように周りから見られているのかを確認することが大事です。その際には、京セラの創業者、稲盛氏の名言にもあるように「人として正しいこと」を企業として、出来ているのかを心のなかで確認することが大事なのかもしれませんね。
デジタルリスクラボ編集部
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