リスクレポート

ネット炎上レポート 2021年12月版

ネット炎上レポート2021年12月版

2021年12月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。

2021年12月度事例から学ぶ炎上理解セミナー

ネット炎上レポートとは

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

2021年12月のネット炎上トレンド

12月に最も多かった炎上対象は前月より2ポイント低下したものの「企業・団体」が74%を占めました。次いで前月より11ポイント増加した「マスメディア」が12%、「個人・著名人」が4ポイント低下し10%となりました。

「企業・団体」の炎上区分の内訳は、前月よりも8ポイント増加した「メーカー」が全体の23%を占め、次いで2ポイント増加した「自治体・団体」が16%を占めています。「サービス」は前月より18ポイント低下し14%となりました。「インフラ」は3ポイント増加し8%、「IT」は2ポイント増加し7%、「教育機関」は1ポイント増加の6%という結果になりました。(図1)

図1_グラフ_炎上対象区分_202112収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」を対象とする炎上内容では、4ポイント低下したものの「顧客クレーム・批判」が全体の39%を占めています。次いで、5ポイント低下した「不適切発言・行為、失言」が33%となっています。「不祥事/事件ニュース」は前月より10ポイント増加し21%、「情報漏えい/内部告発」が2ポイント増加し7%を占める結果となりました。(図2)

図2_グラフ_企業・団体が対象となった炎上内容区分_202112収集データを元にエルテスが作成

誤爆での公式SNS炎上

某放送局の公式アカウントにおいて、ある政党や党首に対する「地獄へ堕ちろ」といった非難のツイートが投稿されました。当該の投稿はすぐに削除され、運用担当者が自身の個人アカウントと誤って投稿したことを釈明し、公式アカウントと公式ホームページに謝罪文を掲載しました。

個人の端末からも公式アカウントの投稿ができるようになっていたことを挙げ、チェック体制に問題があったと発表しました。

表現に関するユーザーとの認識齟齬による炎上が増加

12月度には、表現が誤解を生んでしまったことによる炎上の事例が複数見られています。

a) ある県が制作し、公式Twitterで紹介された、仕事と家庭の両立を目指す女性向け冊子の文言が批判され、炎上しました。

b) 博物館の公式アカウントが発信した人気アニメの舞台に絡めた遊郭に関する紹介の投稿の中で、遊郭を「煌びやかな世界」と表現したことに対して、批判が殺到しました。

a) の事例では、「働く女性応援よくばりハンドブック」と名付けられた冊子に対し、ネット上で女性が仕事をすることと家庭を両立することは欲張りなのかという批判が相次ぎました。冊子は2014年に作られ、2015年からタイトルに「よくばり」の表現が使われていました。内容に関しても、女性が軽視されているとネット上では、「時代錯誤だ」という声が多く見られました。
県は、公式アカウントで「働く女性が欲張りだという意味ではない」と釈明していますが、これに対しても「言葉選びがよくない」といった批判が見られています。

b) の事例では、遊郭に対して肯定的な面のみにフォーカスし、女性の性的搾取の場であった面が言及されていないことに疑問を持ったユーザーから意見が集まりました。
これに対して、公式アカウントから表現が不適切であったとして謝罪投稿が発信され、「表」と「裏」の面を紹介しているとしています。

まとめ

12月度には、公式アカウントからの発信が原因となって炎上した事例が散見されました。誤爆などの従来からある炎上リスクに加え、以前から使っていた表現が投稿することによってユーザーの目に留まり炎上する事例や注目されているトピックに関連した投稿をすることで目に触れるユーザーが増えて注目されてしまった事例など、公式アカウントの炎上リスクは多様になっています。
企業や団体が公式アカウント運用する際には、ルール整備はもちろん、運用・管理体制の構築や徹底、炎上リスクのトレンドをアップデートすることが重要といえます。

過去起きた炎上事例のポイントや対策を見ていただくだけでなく、現在の世間の状況を鑑みながら、どのようなトピックスが炎上しやすいのかを把握していただくことで、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。

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