リスクレポート

総集編|2021年の炎上トレンドと2022年の炎上予測

2021年から2022年

今回は、2021年の炎上事例を振り返りながら、企業の広報担当者が炎上を回避するために、今後気をつけるべきトピックスを紹介していきます。

2021年の振り返り

2021年も残りわずかとなりました。2021年は、バイデン大統領の誕生、ミャンマーでのクーデター、日本でのワクチン接種開始、東京オリンピックの開催、岸田内閣の誕生、COP26を中心とした脱炭素活動の加速など様々なニュースが日本、世界を駆け巡りました。また、人類の新型コロナウイルスとも戦い続けた1年でもあり、東京では3度の緊急事態宣言の発令で、1年間の半分以上が緊急事態宣言発令下という環境でもありました。

“炎上“という観点で2021年を振り返ってみると、今年も非常に多くの、そして多様な炎上が発生しました。下記にあげているものは、一例ではありますが、概要等を見るとそれぞれの事象を思い出すことが出来るものも多いのではないでしょうか。

2021年印象的な炎上事例

2021年の炎上トレンド解説の前に、“炎上“の定義についても触れさせてください。エルテスでは、2019年8月より下記を満たすものを炎上と定義し、日々の事例分析等を行っています。

エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

2021年の炎上トレンド

数多の炎上事例の分析を行う中で、トレンドとして3つの要素が見えてきました。

治まらないバイトテロの脅威

2013年にコンビニ店舗などで発生し、小売業や外食産業の新たな経営リスクとなったバイトテロ。一気にバイトテロやバカッターという言葉が社会に浸透しました。アルバイトを含むスタッフの不適切行為がSNS上で拡散され、スタッフ個人の特定や批判、企業・店舗への批判が集まります。また、個人経営のお店やコンビニのフランチャイズ店舗がバイトテロをきっかけとして、閉店するケースも発生しました。

その後、ご記憶にも新しいかと思いますが、2019年冬にも外食チェーンを中心に多数のバイトテロが発生しました。ある外食チェーンでは全国の店舗を一斉休業し、従業員向けの研修を実施するなどの対策を講じたことも話題になりました。

しかし、そのような対策も虚しく、2021年6月に大手カレーチェーン、10月には焼肉店などとバイトテロの発生は後をたちません。

小売業や外食産業で働くアルバイトスタッフの中には学生も多く、一定期間で人が入れ替わってしまい、歴史が繰り返されうる環境であるとも考えられます。また、デジタルデバイスの発展で、容易に写真や動画を撮影できる現代では、職場での不適切行為をデータとして保存し、世界中に繋がることが出来るSNSを通じて、瞬く間に拡散してしまうという環境も要因の一つです。このような環境は今後も変わらないことが想定される中で、アルバイトスタッフを含む多くの従業員を抱える企業にとって、バイトテロは今後も脅威となり続けると考えられます。

“批判“と”表現の自由“のせめぎ合い

2つ目にご紹介するのは、“批判“と”表現の自由“のせめぎあいです。特徴的な事例として、企業や団体がプロモーション等で使用するキャラクターの性的誇張が不適切として、批判を浴びたケースを紹介します。キャラクターの性的誇張が不適切であるという類の炎上は、過去に様々発生してきましたが、本件は少し様子が異なりました。

【事例】
キャラクター(VTuber)の容姿が、“性的誇張がなされ、不適切である”として、某団体が運営側に抗議。
抗義に対して、運営側はキャラクターの使用取り下げを実施。
一方で、キャラクターを取り下げた対応に対して、運営側への批判が殺到。

運営側の対応に対する批判は主に2つで、「某団体による抗議が本当に適切だったのか」、「取り下げることで幕引きを図りたかっただけではないか」というものでした。前者の「抗議が本当に適切だったのか」という声は、性的な描写に関して、過度でなければ一定の表現の自由から許容されるのではないかというものでした。

まず、お伝えしたいのは、SNS上で批判が殺到しても、その批判は多くのユーザーから支持されているとは限らないケースもあることです。論調を把握し、どのようなコミュニティからどんな批判を受けているか、全体像を把握した上で、謝罪対応等の検討が求められます。

そして、昨今憲法で保護されている言論の自由に基づき、“表現の自由”を守るという論調が強まっており、これらに反した言動を行った場合に、新たな批判が生じうる可能性があります。実際に、その他の炎上に対して、表現の自由の観点から、批判対象を擁護する声が見られるケースも存在します。

過去の掘り起こし

最後にご紹介するのは、東京オリンピックに関する炎上事例でも見られた要素です。

開催直前になって、開会式の作曲担当が辞任するというショッキングなニュースが日本・世界を駆け巡りました。雑誌のインタビューで語られた過去の掘り起こしが行われ、運営組織、本人への批判が発生し、辞任に追い込まれました。

また、SNSの誹謗中傷をなくすことを目的とした啓発団体の代表を務めていた人物が、過去にSNS上で特定人物への暴言を繰り返していたことがSNS上で拡散され、炎上するという事例も発生しています。

一度デジタル空間に解き放たれた情報は、デジタル空間に残り続けます。本人が削除したとしても、スクリーンショット等の手法によって、簡単に複製されてしまい、デジタル空間に残り続けることの理解が必要です。そして、企業や団体のリスクマネジメントの観点では、タレント起用時などに、過去の言動の確認というリスク対策が求められつつあります。

2022年留意すべきこと

ここまで2021年の炎上を見てきました。ここからは、2022年について考えていきたいと思います。この一年間、様々な炎上が発生してきましたが、東京オリンピックに関連した炎上や行政の対応や著名人の振る舞いに対する批判を含む新型コロナウイルスに関連した炎上が数多く見られました。これは、新型コロナウイルス、東京オリンピックが世界中の人々にとっての大きな関心ごとであり、炎上参加者の母数が多いことが関係しています。

そのような観点から、私達にとって大きな関心ごととなるイベントは、炎上リスクも高まります。

<2022年の主なイベント>

2月  北京オリンピック(冬季オリンピック)
11月 FIFAワールドカップカタール2022

実際に、2月に開催される北京オリンピックは、新疆ウイグル自治区での問題に関連して、アメリカは強く批判し、外交ボイコットを宣言しています。日本政府も対応を迫られており、その判断や対応には様々な声が上がり始めています。またアメリカの上院議員から、北京オリンピックのスポンサー企業に対し広告契約から手を引くよう促す書簡が送られたという報道も出ています。2021年8月に開催された東京オリンピック同様にスポンサー企業の振る舞いは、大きな注目を集めることになりそうです。

また、2022年4月には多くの法改正も予定されています。特に育児休暇や女性活躍、個人情報保護等は社会的に関心の高い領域であり、従来のルールでは問題が生じているからこそ法改正につながったと言えます。

<2022年の主な法改正>

4月 育児・介護休業法の改正
4月 女性活躍推進法の改正
4月 個人情報保護法の改正
4月 パワハラ防止法
4月 民法改正(18歳から成人)

これらに関しては以前から炎上しやすい話題であり、法改正以降は企業の対応に注目が集まる可能性があります。各企業とも法改正に向け、社内制度の改正など対応を行っている最中かと思いますが、企業のブランド保護や危機管理の観点からも、自社の企業活動で法改正の内容から逸脱していることはないか、炎上対策という観点からも確認いただければと思います。

エルテスでは、炎上への理解を深めていただくことを目的として、毎月の炎上傾向のレポート発信(発信メディア:デジタルリスクラボ)やウェビナーでの解説セミナー(セミナー一覧)を行っておりますので、チェック頂き、業務にお役立ちできればと考えております。これらの情報をメールマガジンにて発信しておりますので、ぜひご登録ください。

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執筆者:
株式会社エルテス 奥村高大

プロフィール:
大学卒業後、金融機関、コンサルティングベンチャーを経て、2018年に株式会社エルテスに入社。マーケティングGrにて、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。

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