リスクレポート

ネット炎上レポート 2021年9月版

ネット炎上レポート 2021年9月版

2021年9月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。

10月27日開催オンラインセミナー 2021年9月度炎上レポートから学ぶ炎上理解セミナー

ネット炎上レポートとは

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

2021年9月のネット炎上トレンド

9月に最も多かった炎上対象は前月より2ポイント増加した「企業・団体」で65%、次いで前月より4ポイント低下した「個人・著名人」と前月より6ポイント増加した「マスメディア」が15%となりました。

「企業・団体」の炎上区分の内訳は、1ポイント増加した「自治体・団体」と5ポイント増加した「サービス」がそれぞれ全体の25%を占めています。「メーカー」は前月より5ポイント低下し、「IT」は3ポイント増加の5%、「インフラ」と「教育機関」は1%ずつという結果になりました。(図1)

図1_グラフ_炎上対象区分_202109収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」を対象とする炎上内容では、前月と比較して1ポイント低下したものの「顧客クレーム・批判」が全体の37%を占めています。次いで、18ポイント低下した「不適切発言・行為、失言」が30%となっています。「不祥事/事件ニュース」は11ポイント増加の21%となり、「情報漏えい/内部告発」は5ポイント増加の9%、「異物混入」は3ポイント増加の3%を占める結果となりました。(図2)

図2_グラフ_企業・団体が対象となった炎上内容区分_2021年9月収集データを元にエルテスが作成

公式アカウントでの販促企画が不適切であるとして炎上

今月の炎上内容区分で最も大きい比率を占めた「顧客クレーム・批判」の特徴的な事例として、書店の公式アカウントが投稿した店舗企画が挙げられます。SNSでは、表紙を飾った男性アイドルの写真に霧吹きを吹きかけるという動画が掲載され、店舗では来店客も「霧吹き体験」ができるようになっていました。

投稿はネット上で拡散され、企画内容が不適切であると批判の声が多く見られました。不適切であるという理由としては、書店での性的な写真の掲載に関する不快さに加えて、書店で水を扱うことで書物に影響が出るのではないかという批判が見られました。公式アカウントでの投稿は、店頭での企画展開よりも一般ユーザーに広まるスピードが速いため、より企画内容や投稿内容により注意が必要と言えるでしょう。

公式アカウントは当該投稿を削除し、謝罪文を掲載しましたが、謝罪に対しても再度批判が寄せられる結果となりました。再度批判が生じた要因として、複数の観点からの批判があったにも関わらず、それらの論調をしっかりと把握せずに謝罪文が作成され、掲載されたことが挙げられます。

謝罪で大炎上?謝罪文で気をつけるべきポイントは?炎上事件が発生してしまった場合は、謝罪文のリリースが主要な対応の一つになります。その謝罪文を適切な形で作成、公開しなければ、インターネット上でさらに騒動が拡大する可能性もあります。今回は、炎上をかえって盛り上げてしまうような謝罪文のパターンをいくつか見てみましょう。...

女性キャラクターを扱ったPRに関する事例が増加

また「顧客クレーム・批判」に関しては、女性キャラクターを扱ったPRに関する炎上が目立ちました。

a) 某団体の交通安全啓発を目的とした企画で起用されたVtuberの見た目が性的に誇張されており、女性蔑視であるとしてフェミニスト団体から抗議文が寄せられ、動画が削除されました。

b) 某自治体が今年3月に発表した表現ガイドラインで、「萌え絵」を禁止しているのではないかとネット上で批判の声が見られました。

a)の事例では、抗議したフェミニスト団体に対しても批判が見られ、キャラクターを管理する企業が声明を出すなど議論が長期化しています。
b)の事例では、「実際に炎上した事例が、なぜ批判されたのか本質的に理解していない」、「“萌え絵”の定義は何なのか」といった、表現の自由を制限するように見えてしまったことに対する意見が多く見られました。

数年前から、性的に誇張されたキャラクターなど、女性蔑視の要素を持つコンテンツがネット上で批判される例が後を絶ちません。その影響もあってか、そうした要素のあるコンテンツに向けられる目が厳しくなり、炎上しやすくなっている傾向にあります。

これがエスカレートすると、あらゆるコンテンツから性的な要素を排除しろという論調になりがちですが、問題の本質は「性的要素の有無」ではなく、そうした表現を通じて「女性の性役割を固定してしまう」ことにあります。
批判者も時に本質を見失い、形骸的な批判に陥っている可能性もあります。批判を受けた際は、その問題の本質について一度考える必要があると思います。

今回の2つの事例から、そうした学びが得られると思います。

まとめ

9月度は広告表現やプロモーションに対する、「顧客クレーム・批判」に関する炎上の事例が目立ちました。しかし、従来のように不適切表現が炎上するだけでなく、批判の声が適切なのかといった議論や批判の声に対する謝罪は不要なのではないかという議論が生じるケースが見られています。

企業や団体は、炎上してしまった際に、本当にネット上では批判の声が多いのか、その批判は適切であり自社に批判される要素があったのかを論調を見ながら判断する必要があります。

過去起きている炎上事例のポイントや対策を見ていただくだけでなく、現在の世間の状況を鑑みながら、どのようなトピックスが炎上しやすいのかを把握していただくことで、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。

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