リスクレポート

ネット炎上レポート 2021年7月版

ネット炎上レポート 7月版

2021年7月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。

8月25日開催オンラインセミナー 2021年7月度炎上レポートから学ぶ炎上理解セミナー

ネット炎上レポートとは

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

2021年7月のネット炎上トレンド

7月に最も多かった炎上対象は「企業・団体」で3ポイント増加の69%、続いて「個人・著名人」が10ポイント増加し19%となりました。
一方、「マスメディア」が12ポイント低下し6%となりましたが、これは過去1年間を通した平均に近い値となっています。

「企業・団体」の炎上区分の内訳は、「自治体・団体」が14ポイント増加し27%を占めています。次いで「メーカー」は3ポイント増加の23%、「サービス」は13ポイント低下の14%、「教育機関」は1ポイント増加の3%、「IT」は先月と変化なく2%という結果となりました。
「サービス」に関して全体に占める割合は大幅に低下しましたが、炎上件数自体に平均的な数値となっています。「サービス」割合低下の背景には、「自治体・団体」の増加が影響しています。(図1)

図1_グラフ_炎上対象区分_2021年7月収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」を対象とする炎上内容では「顧客クレーム・批判」は9ポイント減少し全体の48%を占めています。次いで、「不適切発言・行為、失言」が11ポイント増加し41%、「情報漏えい/内部告発」は7ポイント増加の7%、「不祥事/事件ニュース」は9ポイント低下の4%を占める結果となりました。(図2)

図2_グラフ_企業・団体が対象となった炎上内容区分_2021年7月収集データを元にエルテスが作成

自治体・団体による炎上が増加

7月は自治体・団体による炎上が大幅に増加しました。炎上件数の増加の背景にはオリンピック・パラリンピック開催に対するネット上での批判が増加していることが挙げられます。

過去の不祥事が蒸し返されて炎上

開会式の企画に関わった著名人数名が、過去の不適切な言動を理由に解雇や辞任する事例が相次ぎました。ほとんどの事例が10年以上前の出来事でしたが、ネット上では批判が集まり、解雇を求めるハッシュタグでのデモ活動も行われる事態となりました。

こうした現象を見ると、企業側がタレントやインフルエンサーを起用する場合にも、過去の言動やそれに伴った炎上がなかったかを確認することが重要だとわかります。また、企業の過去の炎上も、ふとしたタイミングで掘り返され再燃する可能性があるため注意が必要です。

コロナ感染者が増加し、企業・団体が炎上

従業員数を大幅に超えるワクチンを確保したことで、企業のイメージアップ戦略にワクチンを利用していると批判を受けた事例(a)や、役員がワクチンを接種した従業員に対して不当な待遇を押し付けていると従業員から告発された事例(b)など、ワクチン接種に関する炎上が相次ぎました。

(a)の事例では、予約が出来ていない人々がいるにもかかわらず、企業がワクチンを従業員数よりも多く確保し、それを大々的にリリースしたことが、不適切であるとして批判されました。
(b)の事例では、社内向けの動画や文書が漏えいしたことで、さらなる批判を浴びました。

コロナウイルスやワクチン接種に関しては、ネット上でも非常に注目度が高く、デマ情報の拡散が問題視されています。ネット上でも混乱が見られている中で企業が独自の見解を発信することは大変リスクが高い行為と言えるでしょう。

広報担当者がチェックすべきソーシャルリスクを防ぐ10のポイント企業や個人が不用意に行ったWebサイトやSNSへの情報発信が原因で、企業への誹謗中傷が発生するケースが増えています。“標的”とされた企業は信頼の失墜やブランドイメージ低下のみならず、不買運動などにつながれば経営も左右する影響を受けることも少なくありません。こうしたリスクに備えるためにも、まずは「ソーシャルリスクが発生しやすい企業」の特徴をチェック形式でご紹介。あなたの会社は大丈夫ですか?...

まとめ

7月、新型コロナウイルスの感染者数は過去最多となり、その後も数値を更新し続けています。

7月の炎上の背景には、単にオリンピック・パラリンピックが世界規模のイベントだから注目度が高いだけではなく、コロナ禍での開催且つ、期間中に日本の感染者数が激増したことが、政府や運営への批判に拍車をかけたといえるでしょう。
また、6月の炎上レポートでもワクチンに関する報道で炎上したテレビ局があったように、7月も引き続き炎上の対象になっていることから、世間の注目度の高さが伺えます。
基本的に世間の関心が高い内容は、目に触れる機会が多くなることから膨大な賛否両論が集まることを事前に認識しておくべきです。

今回の事例でも分かるように、発信した内容は社内外関係なくネット上に晒されてしまいます。従業員による不適切な投稿は、内部情報の漏えいリスクもはらんでいることを、企業側は今一度認識しなくてはなりません。
今後もコロナウイルスの感染者数の増減、それに伴うワクチン接種の動向は、日本全体の関心が高い事象です。

デジタルリスクラボをお読みになってくださっている皆さまは、どのような背景やポイントで炎上が起きているのかを、過去の炎上事例や世間の状況の関係性を考えながら見ていただくことで、ご自身や所属する企業のリスク対策に繋がります。是非、過去の炎上レポートと合わせて目を通してみてください。

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