リスクレポート

ネット炎上レポート 2020年12月版

2020年12月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。

ネット炎上レポートとは

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

※炎上事例の定義について
1)日々の監視投稿の中から、AIによるテキスト分析や拡散量などから一定の条件を満たすものをスクリーニング(条件は過去の炎上データから、炎上に繋がりやすいメディア等を適宜チューニング)
2)専任の監視担当が情勢や世論を鑑みて、対象者にとってネガティブな内容であるかの判定

2020年12月のネット炎上トレンド

2020年12月は非常に炎上が多く発生した月となり、過去3か月と比較して区分は「個人・著名人」が大幅に増加しました。

その結果、2020年11月と比較して、「企業・団体」による炎上の割合は24ポイント減少し52%、「マスメディア」は4ポイント増加の7%、「個人・著名人」炎上は19ポイント増加して35%の結果となりました。
「企業・団体」炎上区分の内訳は、「サービス」が全体で一番多い24%、次ぐ「メーカー」は16%を占めますが、先月と比較するとそれぞれ4ポイント、7ポイントと減少しています。(図1)

収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」を対象とする炎上内容で一番大きな割合を占めるのが「顧客クレーム・批判」で、3ポイント減少の38%でした。次いで「不適切発言・行為、失言」は8ポイント減少の25%、「不祥事/事件ニュース」は9ポイント増加の21%となりました。「情報漏えい/内部告発」は先月と同じ数値の14%に留まっています。また、今月は3か月ぶりに「異物混入」による炎上が発生しています。 (図2)

収集データを元にエルテスが作成

製品不良が多数発生

2020年12月は炎上対象区分の中でも「不祥事/事件ニュース」による炎上の増加が目立ちました。
法令の基準を超えるアスベストが含まれた商品を販売していたとして、大手ホームセンターやスーパーなどで自主回収が行われた他、製菓メーカーではパッケージと中身が異なる商品を販売していたとしてこちらも自主回収を行っています。

企業にとって不祥事を発生させないことが最優先ですが、可能性がゼロであるとは言い切れません。
予期せぬ事態に備えて、実際に不祥事を起こし炎上した企業がどのような対応をしていたか、そしてネット上の反応はどうだったかを確認することは、問題が起きた時の自社の対応を現実的にイメージしやすくし、非常に参考になるでしょう。

特に「謝罪文」は重要で、内容一つで”顧客の信頼を落とさない企業”かどうかを左右します。事実、謝罪文で二次炎上に至る企業は多く存在します。
是非、以下のコラムと共に不祥事を起こした場合の対応の流れや方法を考えてみることをお勧めします。

謝罪で大炎上?謝罪文で気をつけるべきポイントは?炎上事件が発生してしまった場合は、謝罪文のリリースが主要な対応の一つになります。その謝罪文を適切な形で作成、公開しなければ、インターネット上でさらに騒動が拡大する可能性もあります。今回は、炎上をかえって盛り上げてしまうような謝罪文のパターンをいくつか見てみましょう。...

企業の経営層の発言で炎上

2020年12月は企業の経営層による発言がネット上で炎上した事例も見受けられました。
・従業員に対するパワハラ発言
・サイト内で人種差別と捉えられる表現を公開

昨今、SNS上でバイトテロや企業のブランディングを損なう従業員の不適切投稿など、従業員がネット炎上するケースは頻繁に発生している為、対策している企業は多いと思われますが、現場で働く社員だけが炎上の対象になるとは限りません。

上場企業であったり、商品やサービスの知名度の高い企業であったり、会社としての影響力が大きければ大きいほど、個人であっても世の中の注目度は高く、プラスにもマイナスにも社会に与える影響は必然的に大きくなります。

また、ネット炎上により企業に与える悪影響は「ブランディング」や「採用活動」や「営業利益」など多岐にわたり、経営リスクに直結します。
会社の名前を背負う全員が、それぞれの立場に適したSNSリスクの認識、必要な知識を得ることでリスクを最小限に抑えることが出来ます。

まとめ

スマートフォンの普及によりSNSの利用者は増加し続けています。
今までは情報を一方的に得ていたことも、自ら情報発信が可能となり、双方向にコミュニケーションが取れるようになりました。その結果、今までやり取りできなかった人たちと意見を交換することが可能になりました。

しかし、双方向にコミュニケーションが取れるということはメリットだけではなく、価値観の衝突も生み出します。SNS時代を生きる私たちは常にこのことを頭の片隅に置きながら、メリットを活かす利用方法を知り、ネット上での適切なコミュニケーションを日々学んで行きましょう。

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デジタルリスクラボ編集部

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