リスクレポート

ネット炎上レポート 2020年6月版

2020年6月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。

ネット炎上レポートとは

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーションを保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

※炎上事例の定義について
1)日々の監視投稿の中から、AIによるテキスト分析や拡散量などから一定の条件を満たすものをスクリーニング(条件は過去の炎上データから、炎上に繋がりやすいメディア等を適宜チューニング)
2)専任の監視担当が情勢や世論を鑑みて、対象者にとってネガティブな内容であるかの判定

コロナ以前に戻りつつある「企業・団体」の炎上比率

2020年6月は、先月23%だった「マスメディア」による炎上が今月9%と14ポイント低下しました。今月も「企業・団体」に関わる炎上事例が多く見られ、「緊急事態宣言」以前の7割台には満たないものの、徐々に増えてきました。「その他」の割合にも6ポイント増加の変化があり、“政治関連”による炎上事例が増えました。

「企業・団体」の炎上区分を見ると、「サービス」が徐々にコロナ前の数値に戻りつつあります。「自治体・団体」による炎上は「企業・団体」内の1/4程の高い割合を占めています。(図1)

収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」が対象となった炎上内容を分類すると、「顧客クレーム・批判」が全体の4割以上を占める結果となりました。先月と比較すると、「不適切発言・行為、失言」が低下し、「顧客クレーム・批判」と「不祥事/事件ニュース」に割合が分散しています。 (図2)

収集データを元にエルテスが作成

「顧客クレーム・批判」が増加

6月の「企業・団体」による炎上の中でも「顧客クレーム・批判」によるものが多くを占めました。
この結果は「企業・団体」の炎上した業界が関係しており、先月と比較すると内訳として「サービス」業界が10ポイント増加しています。
「サービス」による炎上が増えた背景として、6月には新型コロナウイルスに関しての営業自粛が全国的に解除され、飲食店や接客販売などで営業が再開されたことが大きく影響していると考えられます。

表現による炎上事例

6月の炎上事例のトピックとして、文章表現による意図しない炎上が複数件確認されました。
昨今「○○女子」や「○○男子」など、ある特定層を呼称する表現があります。
今回は、それをプロモーションのキャッチコピーで使用し炎上してしまった事例を考察していきましょう。

いくら炎上の原因となった表現だといっても、皆さんも日常会話では何気なく口にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし、不特定多数の大衆に向けて発信する場合は注意が必要です。
批判されたポイントは大きく2点ありました。どのようなポイントだったのでしょうか?

・ジェンダーレスが進む社会では不適切な表現であること

・本来商品やサービスの良さを伝えるプロモーションの目的から逸脱したと捉え兼ねられない表現であったこと

「ジェンダーレス」は今世界各国で浸透している価値観で、「男女の境界を無くし、区別しない」という意味です。

なぜ、「○○女子」という表現はジェンダーレスに抵触してしまうのでしょうか?
前提として人によって感じる程度の差はありますが、「差別的な表現」や「レッテルを貼られる」といったネガティブな印象を与えてしまうからです。
そして、「男女の境界をなくしていこう」という世の中の動きの中で、あえて「○○女子」や「○○男子」と区別する表現をしてしまうと、ジェンダーに対して敏感な人や、その価値観を大切にしている人にとっては、自分自身を否定されている感覚を抱く可能性もあります。

また、皆さまご存じの通り、キャンペーンやプロモーションを行うということは、何かしら商品やサービスまたは購買活動を促進させるためのものです。
しかしこの事例場合、その目的が著しく果たされないであろうと判断され、更に本来注目されるべきものが蔑ろにされるような印象を与えた為に批判が殺到しました。

では、今後どのような考え方を持ち、何に注意することで炎上を防ぐことが出来るのでしょうか?
まず直ぐにできることは、世の中や世界の価値観のトレンドや傾向を知ることです。

知ったうえで理解を深めることにより、どのような話題や表現が適切か、不適切かを判断する感度が高まります。
不適切、または炎上の火種になりそうだと判断した場合は、言葉や言い回し、全体の構成などを確認し、読者や視聴者に与える印象を調整しましょう。

予期せぬ炎上を防ぐためには

ネットが普及した現代では、発信した情報がいつどこで誰の目に届くか管理することが非常に難しいです。だからこそ、情報発信する際には様々価値観の人に見られる、良くも悪くも拡散される可能性がある、という前提を持っておくことが大切です。

対面では話の流れや文脈から情報が補完されたり、言葉足らずならその場で説明したりすることができますが、ネット上での情報発信はコミュニケーションが一方通行になりがちな上に、リアルタイムで進行していくため、一度誤情報発信すると訂正することは難しいです。
しかし、ネットを利用した情報発信は炎上のリスクが高いと言って避けて通ることは、インターネットの大きなメリットを潰すと共に、これからの企業活動の可能性も潰すことになりかねません。

リスクを正しく把握し、ネットやSNSの特性を理解することで、情報発信を幅広く活用できるようになっていただきたいです。

デジタルリスクラボ編集部


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