リスクレポート

ネット炎上レポート 2020年5月版

2020年5月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。今月は、個人・著名人、マスメディアにによる炎上の増加や、行政や議員による炎上が確認されました。使用されているデータは、公開されているSNSの情報を独自に収集し、分析したものです。

マスメディアによる炎上が増加

2020年5月は、「企業・団体」に関わる炎上の事例が多く見られましたが、3月以降6割台の低い水準を維持しています。先月と比較すると2ポイント低下しています。
5月の炎上の特徴としては、先月9%だった「マスメディア」による炎上が今月23%と14ポイント増加し、対称的に「個人・著名人」による炎上が10ポイントまで低下しました。

「企業・団体」の炎上区分の内訳として、3月から低下傾向にあり、先月の40%まで低下した「サービス」がいよいよ23%まで低下し、「自治体・個人」や「IT」「インフラ」などに割合が分散しています。(図1)

収集データを元にエルテスが作成

「企業・団体」が対象となった炎上内容を分類すると、「不適切発言・行為、失言」と「顧客クレーム・批判」が並んで39%、次いで「不祥事/事件ニュース」が16%、「情報漏えい/内部告発」が6%の割合を占める結果となりました。(図2)

 

収集データを元にエルテスが作成

「マスメディア」の炎上増加の背景

5月の炎上に触れるに当たって、新型コロナウイルス感染拡大の状況に多くの関連性が見られました。そのため、4月~5月の世の中の動向を振り返ってみましょう。

世間の動向

4月7日:7都府県に緊急事態宣言
4月16日:緊急事態宣言を全国に拡大
5月4日:緊急事態宣言を5月31日まで延長
5月14日:緊急事態宣言 39県で解除、8都道府県は継続
5月21日:緊急事態宣言 関西は解除、首都圏と北海道は継続
5月25日:全国で緊急事態の解除宣言

上記のように5月は日本で暮らす全ての人が、日常でも仕事でも「緊急事態宣言」の延長と解除に一喜一憂した1か月間だったとのではないかと思います。このような日本中がコロナ一色の状況が影響し、それに関わる人々を報道したり、記事にしたりする場面が非常に多かったことが考えられます。

更に、5月の「マスメディア」起因の炎上は75%が新型コロナウイルスに関連する炎上でした。もちろん、世の中の状況を「正しく伝える」といった本来の「マスメディア」の活動をしている団体も数多くありますが、その中にも消費者のクレームや批判に繋がるような「不適切な行為」があったことが、炎上の増加に影響を与えています。例えば、報道の捏造やフェイクニュース、部分的に切り取られ編集された「デマ」と捉えられかねない情報が放送され批判が殺到しました。

このように情報を歪曲したり、捏造背景したりする背景には何があるのでしょうか?
視聴率の為に関心を惹ける内容に意図的に情報を操作する場合もありますが、見てくれる人や読んでくれる人を楽しませようという気持ちから事実を誇張した表現をしてしまう場合もあります。後者は悪意が無く行っているので、予期せぬ炎上を招きかねません。

情報発信を行う際に常に念頭に置いて頂きたいのは、「情報の受け手の価値観は様々で、その情報にどのような意見や考えを持つかは人それぞれ」ということです。
皆さまが関わっている顧客や関係者に、今後も有益な情報を届けていくために、以下のような対策を行い、リスクを最小限に抑えていきましょう。

~今すぐ行える対策~
・情報発信を行う前に、その情報が事実かどうかを確認する

・情報発信の内容を第3者に確認してもらい、ダブルチェックを行う

「サービス」業界の炎上低下

5月は「サービス」による炎上が23%まで低下し、他業界による炎上が増加しています。
4月に「緊急事態宣言」が出され、5月まで引き続き延長されたことから、「国民の自粛モード」に対応する企業が増えたことが考えられます。

5月以降通常営業や業務に戻ると想定していた企業は、コロナ禍でも営業利益を上げるために事業転換や既存事業に対して何かしらマイナーチェンジを行ったり、販促のためにキャンペーン活動を行うケースも見受けられました。あるいは、コロナの影響が長期化されることを想定し、4月は世の中の状況や消費者の購買行動などを観察して、5月に商品やサービスをリリースしようと計画した企業も多かったはずです。

新型コロナウイルスによる企業への影響は、政府からの要請により直接的な打撃を受けた飲食業や接客業に捉えられがちですが、消費者の生活が変化したことで購買活動にも変化が及んでいることを考えると、全ての企業に何らかの影響が生じています。自粛という環境が起因して、急速にデジタル空間内で購買行動が完結するという変化が生じている可能性も考えられます。
そのような状況でSNSやWebサービス上で私たちが得ることの出来る顧客の声(レビュー)は、企業活動に大きな影響を与えうるとも考えられます。

コロナ禍で急速に進む、ECとSNSの接近。デジタル時代の消費者行動とは?2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大は。、私達の行動様式を大きく変えています。気づかぬうちに購買行動にも変化が見られます。実際に、EC(通信販売)の需要が高まりを見せていますが、SNSとの関係も見逃せません。今回は、急速に普及するECとSNSの関係に迫ります。...

まとめ

リアルな世の中の動きは、必ずネット上にもリンクしています。
オンライン上の世界は現実世界と切り離して考えず、1つの事象に対して、何にどのような影響が及ぶのかを視野を広く持ち考えることが重要です。

そして、社会変革が求められている今だからこそ、世の中の動きや変化が分かりやすい時期でもあります。普段より、多くの人の立場になって考えてみることは、今すぐできる「デジタルリスク対策」に繋がります。

デジタルリスクラボでは、世の中の変化に即したコラムを定期的に発信していますので、是非参考にしていたければと思います。

デジタルリスクラボ編集部


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