飲食店にとってSNSの運用は今や当たり前のものとなりました。 一方でSNSには様々なリスクが存在します。 本記事では飲食店に関係するSNS上のリスクや、それらの対処法の1つとなる監視(モニタリング)の有効性や方法についてご紹介します。
飲食店の集客ツールとしても優れるSNSとリスク
ネットの発達によって飲食店の宣伝・集客も大きく変化しました。消費者は飲食店に関する情報収集をSNSで行うようになり、飲食店もまた、SNSを利用して宣伝やユーザーとの交流を図る店舗も多くあります。また昨今の社会情勢の変化の影響でテイクアウトや宅配サービスの需要が高まり、SNSをつかって集客を図る飲食店も増えました。
SNSが飲食店と消費者をつなぐ交流の場として、その便利さが認識されている一方で、風評被害や炎上といった飲食店の経営に関わるような重大な事故が起こりやすいツールでもあります。自店舗で運用しているアカウントでの不適切投稿や、働く従業員による不適切投稿、ユーザーのクレームなど、様々なリスクに気を配り、真摯に向き合わなければなりません。これは、SNSアカウントを持っていない店舗も対応しなければならないリスクです。
ネット上の危機対応速度の重要性
飲食店で多い炎上事例としては、アルバイトの悪戯投稿や、異物混入、店に対する不満などが書き込まれることが多くありますが、これらをただのいたずら投稿や消費者の不満だと判断して放置していると、大きなリスクになる可能性もあります。実際にこれらの投稿が炎上のきっかけとなって閉店に追い込まれた飲食店もあります。
そういった危機的な事態にならないためにはどうすればいいでしょうか。
答えは”備える”ことです。炎上やクレームなどを完全に防ぐことはできないため、火種となる投稿が行われた際に被害を最小限にする備えをしておくことが重要です。
昨今のSNSは、拡散速度が非常に早い上に、注目されているSNS投稿はポジティブ・ネガティブな内容に関わらず、ネットメディアが1日と経たずに記事化する傾向が見られます。最終的にはTVのニュース番組などのマスメディアにまで取り上げられ、SNSを見ない層にまで認知が拡がるというのが拡散のパターンです。
つまり、一度拡散され始めてから対応するのでは遅く、拡散を防ぐには「早く発見して、事実を確認し、早期に対応する」ことがなによりも重要です。
SNS監視・モニタリングの有効性
ネット上、特にSNSにおけるリスクへの効果的で簡単な対策は”監視する”ことです。
少し専門的な用語として、「モニタリング」という言葉がよく使われますが、SNSのモニタリングで備えることができるリスクの代表例として以下のようなものが挙げられます。
- 自店舗への批判やクレーム情報収集
- 自社商品/サービスへの批判やクレーム情報収集
- 機密情報を含む情報漏洩の有無の確認
- 従業員等の関係者による不適切投稿の有無の確認
- 自社への危害予告等の確認
SNSを含むインターネット上でネガティブな投稿があった場合に最も有効なのは、「早く発見して、事実を確認し、早期に対応する」です。
早期発見をすると、対応を考える時間や取れる選択肢が多くあります。逆に発見が遅れて、拡散・炎上となった場合、手が付けられない状態になっていきます。そのため、SNSをモニタリングすることは、問題の”早期発見“ができるという事で高いメリットがあります。
早期発見をするには、SNSで自店舗に関する投稿を定期的に見ておくことが重要です。
どうやって監視するの?
SNSをモニタリングする方法としては大きく3つ挙げられます。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自店舗のリソースとノウハウを鑑みて、どの形が自店舗に合っているかを検討する必要があります。
- 自社の社員が定期的にチェックする
- 監視ツールを導入し、自社社員が確認する
- リスク監視専門会社に依頼しアウトソースする
1: 自社の社員が定期的にチェックする
1は、単純に自分たちで見るという方法です。
この方法は当然ながら費用はかかりません(従業員が監視にかける時間の人件費を別として考えた場合)。SNSに慣れている人であれば、普段使っている要領で調べることができるため手軽に始めることができます。
一方で、従業員が対応できない夜間や休日の監視が難しくなる場合や、SNSの検索に不慣れな場合は確認の抜け漏れが発生しやすいという課題も考えられます。複数人による交代での担当や、普段からSNSを利用する人がモニタリングすることをおすすめします。
2: 監視ツールを導入し、自社社員が確認する
SNSを自動的に監視・投稿を収集してくれるツールもあります。たとえば、店舗名やブランド名などのキーワードを登録しておくだけで、そのキーワードが含まれるSNS上の投稿を自動的に収集することができるため、手動で情報収集するより効率は良くなります。
ツールによって有料のものや、機能に制限(投稿の取得量や取得期間など)があるため、自分たちの監視要件に合ったツールを探す必要があります。
3: リスク監視専門会社に依頼しアウトソースする
専門の会社にアウトソースすれば、自社・自店舗で監視するといった負担は少なくなり、即時性や専門性(どういうポイントで監視すべきかなど)、評価から対応までの助言が得られるのがメリットです。
一方で、ツールのみに比べて費用が高くなりやすいという特徴があります。一日の投稿量が多い店舗やSNSの確認にあまり時間が掛けられない場合は有効な方法です。
まとめ
これまでで述べてきたように、昨今の飲食店にとって、SNSは使っていなくても被害に遭うという場合も多く無関係ともいられないものとなっています。
また、炎上やネガティブな情報が拡散してから対応するのでは遅いです。そういった事態を避けるためにも、事前に対策を講じておくこと、普段からSNS上での自店舗に対する投稿に目を光らせておくことが大切となります。
また、SNSをモニタリングすることは、リスクを管理することに加え、消費者の自店舗に対する感想や要望などを把握することもできるなど、自店舗の認知・売上上昇のためのマーケティングを考える際にも役に立つ情報を得ることができます。
今回紹介したモニタリングの手法を、リスク対策のみに留まらず、普段の経営に幅広くお役立ちいただけると幸いです。
デジタルリスクラボ編集部
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