インターネットの普及により、口コミによる製品・サービス選びをする消費者も増えました。しかし同時に、デマや誹謗中傷などの事実に反する投稿も多くあります。今回はそんなネガティブな口コミへの対処法について紹介します。
ネットの口コミの影響とは?
インターネット及び、SNSの普及によって、マーケティングもただ情報を伝える一方向のものから、消費者とのコミュニケーションを図る双方向のものへと変化しました。
消費者庁の「平成29年版消費者白書」によると、商品・サービスの購入を検討する際にネットの口コミを参考にする人は20代で71.4%、30代で69.4%と3人に2人以上という結果が出ています。若い世代の多くが消費行動にネットの口コミに影響を受けていると言えます。
※「「商品やサービスを検討するときにクチコミを参考にする」との考え方や頻度について、あなたはどの程度当てはまりますか。」との問に対する回答。
(出所)消費者庁「平成29年版消費者白書」よりエルテス作成
中傷・デマに悩まされる事業者
消費者の意思決定を大きく後押しする口コミですが、中には事実に反する口コミやデマ、誹謗中傷が書き込まれているものも存在します。事業者の中には全く身に覚えがない内容の口コミが拡散されてしまい、企業ブランドを傷つけたり、売上に影響が出る事例もあります。
事業者を悩ます、よくある事例を下記より御覧ください。
①Googleの口コミ
店舗やオフィスに尋ねる際に多くの人が使用するGoogleマップ上には、グーグルの口コミが反映されます。
この口コミは、5つ星の評価が表示されるユーザーレビューです。飲食店などをGoogleマップなどで検索するユーザーも多く、これらの口コミが消費者行動に大きな影響を与える可能性があります。
〈事例1〉
AクリニックのGoogleの口コミに、「許可もなく、高額な治療を実施された」「4時間近く待たされる」など、治療方針を事前確認する、予約システムを導入しており、待ち時間は30分以内などの事実とは異なる内容が書き込まれる。
〈事例2〉
飲食店BのGoogleの口コミに、「異物が混入していた」と店舗で提供しているお皿とは異なるお皿に盛り付けられた料理に異物が混入している写真が掲載される。
②SNSによるデマの拡散
同じような投稿はTwitterなど拡散力のあるSNSにおいても見受けられます。
特に最近では新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、飲食店などを中心に新型コロナウイルス関連のデマも発生しており、嘘の情報と店名がSNSで拡散される事例が発生しています。投稿された飲食店には、感染に関する電話が相次ぐ、売上が減るなどの被害が生じています。
〈事例3〉
「飲食店Cの従業員が新型コロナウイルスに感染した」と事実無根の情報が記載され、同時に従業員への感染対策を怠ったとして、店長の誹謗中傷が投稿される。
口コミに悩む事業者と信じるユーザー
株式会社plazaの調査では、嘘や身に覚えのない口コミを投稿されたことがある歯科医院は85%に上るようです。一方、一般のユーザーのアンケートでは、検索エンジンやポータルサイトの口コミを「信用できる」と回答したユーザーは70%以上にも上ります。
このことからもわかるように、消費者は内容の真偽を問わず、ネット上の口コミを信用する傾向があり、商品・サービスを選ぶ重要な判断基準としています。事実無根の意見や風評被害が、商品・サービスを避ける要因となることは十分に考えられるため、ネガティブな口コミに対しては何らかの対応を取ることが大切です。
口コミによる中傷やデマの対処法は?
では、口コミでデマや誹謗中傷などの内容を書き込まれた場合は、どのようにすればいいでしょうか。取れる方法は大きく3つあります。
①削除申請を行う
GoogleやTwitterといったサイト運営者は投稿の削除依頼フォームを用意していることがあります。そこで該当する投稿の削除依頼を申請することが可能です。サイトに削除依頼フォームがない場合は、問い合わせて相談する方法もあります。
ただし、削除対象となるのは、サイト運営者側が定めたポリシーに違反している投稿のみという場合が多く、必ず申請が通るとは言えません。
・クチコミの削除をリクエストする(Google ヘルプ)
・お問い合わせ(Twitter)
たとえば、Googleの場合、誹謗中傷的な内容は、ポリシーにて禁止されているので報告することができます。口コミの削除を希望する場合は、以下のGoogleのポリシーに該当するか確認してみることをおすすめします。
禁止および制限されているコンテンツ(Google ヘルプ)
②口コミに対する返信・関連情報の発信
削除が難しい投稿の場合は、該当する口コミに返信する、公式のウェブサイトやSNSにて見解を発表する(スタンスを明確にする)、といった方法があります。
批判的な口コミに対しては、真摯に受け止め改善していく旨などを返信することで、ユーザーからの印象が良くなり、ネガティブな口コミの影響力は下がる場合があります。
ただし、対応を誤った場合、批判がさらに大きくなることも有り得るため、言葉選びなどは慎重に行いましょう。
③弁護士へ相談
自身での解決が難しい場合は弁護士に相談するのも手段の1つです。
ネット中傷に詳しい弁護士もいるため、専門の知識を持っている弁護士に相談する方法もあります。
早期に発見し、冷静な対応を
ここまで3つの対処法を紹介してきました。この3つに共通して言えることは、早く発見して冷静に対処するということです。Googleマイビジネスでは、口コミが増えると管理者にはメールで通知される機能があり、口コミに気づくことが出来ます。一方で、TwitterなどのSNSに投稿された口コミを1つ1つ見ていくのは手間と時間が必要になります。
TwitterなどのSNSは、拡散力が強いため、放置しておくとどんどん広まってしまい、最悪の場合、炎上に繋がることもあります。そのためには、SNS上の口コミを早期に発見するための取り組みも検討しましょう。
参考
平成29年版消費者白書(消費者庁)
<調査リリース>嘘や身に覚えのない口コミを投稿された経験のある歯科医院は「85%」。一方、口コミを信じるユーザーは70%超。 ~歯科医院に関するネット口コミの実態調査~(株式会社plaza)
デジタルリスクラボ編集部
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