2020年11月10日、Twitterに24時間後に共有した内容が自動削除される「フリート」という機能が実装されました。本記事では、企業が向き合うべきSNS上の風評被害や炎上リスクに「フリート」がどのような影響を与えるか、特徴や機能をご紹介しながら解説します。
Twitterの「フリート(Fleet)」とは
テキストを中心としたSNSとして、多くのユーザーに利用されているTwitterは、2020年11月10日にフリート(Fleet)の実装を公開しました。
フリートを簡単に説明すると、24時間限定でテキスト・画像・動画を共有できるショートムービー機能です。Twitter社は、フリート機能を実装する上で、フリートは、「目の前のできごとやその時の気持ちを伝える手段」であると紹介しています。
そもそも、Twitterが日本国内で広く普及したきっかけは、東日本大震災でした。電話やメールと言った既存の連絡手段が不通の状況が続く中で、「情報を得る」「情報を発信できる」「誰かと連絡を取ることができる」手段として、注目を集めました。
しかし、SNSが普及していく一方で、投稿がオープンな状態でデジタル空間に残り続けるリスクや、投稿にリアクションを求めるあまりプレッシャーを感じるユーザーが増えてきました。
Twitter社はフリートを実装した想いを以下のように発信しています。
フリートは、目の前のできごとやその時の気持ちを伝える手段ですーー会話のきっかけとなり、そして24時間しか表示されません。ブラジル、イタリア、インド、韓国で行ったテストを通じて、フリートが会話への参加のハードルを下げていることが判明しました。フリートがあるほうが、より多くの会話がTwitter上でなされることも確認できました。Twitter初心者は、心に浮かんだことを表現するにはフリートのほうが好ましいようです。また、個人的で気取らない感情、意見、感じたことなどを共有しやすくなります。日本はTwitterが最も多く利用されている国の一つであり、また日本の皆さんはTwitterを巧みに使いこなしています。その日本で、皆さんがどんなふうにフリートを使うのか、私たちは大変注目しています。
引用:いまを伝える新しい形、「フリート」を日本の皆さんにご紹介します(Twitter Japan)
「フリート」の特徴
Twitterの「フリート」には、どのような機能があるのでしょうか?
類似サービスのInstagramの「ストーリーズ」と比較しながら、特徴を整理します。
基本はInstagramの「ストーリーズ」と同じ機能
・24時間で自動的に削除される
・自分のフリートであればその投稿を閲覧したアカウントが表示される(非公開アカウントでも同様)
・フリートへのスタンプやコメントは本人のDMに送信される(※フリート作成者がDMを開放していない場合は送信されません)
・フォロー中のアカウントのフリートであれば、タイムライン最上位に表示され、アイコンをタップすることでフリートを閲覧できる
・ツイートを閲覧できるユーザーであれば、プロフィールページのアイコンからフリートが閲覧できる (アイコン画像の表示も選択できる)
・位置情報のON、OFFを設定できる
・動画の投稿もできる(音声を付けたり、テキストを同時に打ち込むことも可能)
「フリート」独自の仕様
・動画の長さは最大30秒(自動的に連続投稿されることはない。トリミング編集が可能)
・一度に投稿できる画像または動画は1点のみ
・テキストのフォントは変更不可
・フリートへの返信を拒否する設定がない
・文字数の制限はない
・TLのツイートをフリートで引用・共有できる(その際に引用・共有された本人に通知はない)
・非公開アカウントのツイートはフリートで引用できない
・ミュート機能でフリートの投稿を非表示にすることができる
・ツイート数にフリートはカウントされない
・フリート内のテキストはコピーできない
・フリートにURLを掲載しても遷移はできない
・フリートに対する通報機能がある
・アーカイブ機能はない
今後フリート内でライブ配信ができる機能や、絵文字などの「ステッカー」を使える機能も追加される予定です。
(※2021年4月1日にTwitter公式から「ステッカー」を利用できるようになる新機能が発表されています)
「フリート」実装で企業が向き合うべきリスク
「フリート」実装によって企業が向き合うべきリスクは、大きく2つ存在します。
1.24時間で非表示になるため油断して、従業員が炎上リスクのある投稿を気軽に行う可能性
2.足跡機能によって企業による従業員アカウント調査などの行動が表面化し、フリート作成者から非難を受ける可能性
1.従業員が炎上リスクのある投稿を行う可能性
2019年冬に外食チェーンやカラオケ店などで頻発したバイトテロの中には、Instagramのストーリーズに投稿された画像や動画が他のメディアに転載され、炎上につながった事例がありました。
Twitterのフリートも24時間後に閲覧できなくなりますが、容易に複製できる環境にあることを考えると、気軽な投稿に社内の機密情報が映り込むことや、不適切な行動を遊び半分で投稿してしまう可能性を忘れてはなりません。
2.足跡機能によって行動が表面化し、非難を受ける可能性
「フリート」が実装されたのと同じ2020年11月に、採用候補者のSNS裏アカウント調査を行っているサービスがネット上で話題になりました。
企業が従業員、採用候補者のSNSアカウントを監視する必要があるのかという議論が先になりますが、フリートの足跡機能で、閲覧履歴が可視化出来るようになったことは大きなポイントです。
フリートの機能や炎上事例を把握し、起こりうるリスクやトラブルへ事前に対策しておきましょう。
まとめ
ここまでTwitterの「フリート」について紹介してきました。
企業の公式Twitterにとっては、フリートで情報発信することによって、どのようなユーザーが閲覧しているか把握できるポジティブな面もあります。
SNSは、ものすごいスピードで変化していくサービスです。
しっかりと最新のSNS情報にアンテナを張り、事業に活用しつつ、企業が向き合うデジタルリスクも考えていきましょう。
参考
・TwitterのFleetについて(Twitter ヘルプセンター)
・いまを伝える新しい形、「フリート」を日本の皆さんにご紹介します(Twitter Japan)
デジタルリスクラボ編集部
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