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それ、実は法律違反?デジタル時代の新聞記事の著作権について

情報が溢れるデジタル社会において、誰がその情報を発信したのかは非常に重要です。実際に、不確かな情報も多く流布しています。その中でも、新聞記事は信頼度の高い情報として、SNSやコラム、時にはセミナー資料などに記載されるケースも多くあります。しかし活用方法によっては著作権の侵害となるケースもあります。今回は、新聞記事の正しい活用について紹介します。

気づかぬうちに著作権侵害?

SNSやWebサイトに掲載されている資料などに、新聞社が発信する情報が活用されているケースが見られますが、場合によっては著作権侵害となっているケースもあります。実際に、一般社団法人日本新聞協会は下記のような声明を発信しています。

最近、新聞・通信社が新聞や電子メディアで発信する記事・写真などの情報をインターネット上などで無断利用する事例がかなり目につきます。無断で利用する人の多くは著作権問題があることに気が付いていないか、気が付いていても「個人のページに載せるのだから」「営利を目的とするわけではないから」という理由で、「認められるだろう」と安易に考えているようです。
しかし、新聞・通信社が発信するほとんどの情報には著作権があります。著作権法では、新聞や報道にかかわるいくつかの事項について、一部自由に使えるような規定もありますが、原則として利用する際には承諾が必要なのです。

引用:ネットワーク上の著作権について(一般社団法人日本新聞協会)

上記の声明は、1997年11月の編集委員会の見解です。1997年以前に比べて、私達の生活にインターネットというメディアが普及し、情報へのアクセスは容易になっています。至るところで情報に触れるようになっていますが、情報には著作権という考え方も働いているというのが、一般社団法人日本新聞協会の見解です。そして、新聞社の発信する情報を利用する場合は、発信元の新聞社へ相談、連絡をしてほしいと促しています。

どのようなケースが著作権侵害に当たるのか

ポイントは、大きく3つあります。
・私的利用のための複製は可能
・ニュース記事にも著作権が働いている
・引用する場合にも制約が存在する

私的利用のための複製は可能

まず、大前提として、著作権法では第30条で「私的使用のための複製」を認めています。私的使用は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」と定義されており、個人的な活用に留まるのであれば、著作権侵害には当たらないとされています。

しかし、個人的な活用であっても、運営しているブログに掲載するなどのケースでは、見解が異なります。インターネットは世界中の誰でもアクセス可能なネットワークであり、掲載した人物が個人的な活用であるという意思に関係なく、多人数の人に見てもらいたいという意思が働いているとみなされ、私的利用の域を超えていると判断されます。

同様に、自社の情報が新聞に掲載されたので社内共有したいという場合でも、クリッピングしたニュースを切り抜き複製した場合には私的利用の域を超えているという判断がなされます。
会議の際などに新聞記事の切り抜きを参考資料として配布したい場合などは、一定の条件下ではありますが、日本複製権センターと包括的な利用契約を結ぶことで使用可能になるとのことです。

新聞著作権協議会とは? (新聞著作権協議会)

ニュース記事にも著作権が働いている

ニュース記事を構成する要素は大きく2つあると考えられます。それは、「事実」と「記者独自の表現」です。事実に関する情報は、どのメディアであっても、大差はありません。事実を報道する新聞社の情報には、著作権が働かないという考え方をお持ちの方も多いかもしれません。

しかし、記事にはその事実を伝える記者独自の価値判断や視点が伴ってるというのが一般社団法人日本新聞協会の見解です。もう少し具体的に記載すると、一般社団法人日本新聞協会は、著作権法では、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義(第2条の1号)されており、新聞記事が著作物であるという見解を出しています。

更に、新聞記事に活用されている写真も著作権の対象であり、無断利用は認められていません。

引用する場合にも制約が存在する

著作権法第32条では「公表された著作物は、引用して利用することができる」としています。

ただし引用とは、個人が作成した著作物を補強するために行うものであり、分量としても「引用部分>個人の作成した著作物」という関係になっていなければなりません。また、どの部分が引用か分かるように「」などを用いて区別することが求められています。

各社の対応方針

ここまでは一般社団法人日本新聞協会の見解であり、基本的には、新聞社に各人が問合せを行い、相談、連絡を行うように促されていています。そこで、代表的な新聞社の考え方もご紹介します。

朝日新聞では、基本的には、無断で複製などを行うことを認めず、著作権の保護を受けていると説明しています。また、記事利用時の申請方法やクリッピング機能の申込方法などの案内もあります。
日本経済新聞でも、無断の複製などを行うことを認めず、使用許諾を取ることを求めています。

また、SNS等でのリンクの活用方法に関しては、朝日新聞では下記のように記載されています。

朝日新聞デジタルに掲載されている記事や写真をFacebookやtwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に掲載したい。

回答
著作権法上の「引用」など、権利者の許諾なく使うことが法的に認められる場合を除き、無断でのご利用はできませんのでご注意下さい。
メールやツイッター等での記事へのリンクの利用や、Facebook等のおすすめ機能の利用は可能です。

詳しくは「著作権について」からご確認ください。

引用:Q&Aよくある質問(朝日新聞DIGITAL)

日本経済新聞のリンクポリシーを確認すると、リンクを張ってはいけない条件として、複数のポリシーが制定されていますが、「商品・サービスの宣伝・勧誘などの営利目的で、日経電子版記事を利用するもの」という記載もありました。

日経新聞に自社のサービスが取り上げられ、それらを営利目的で活用するケースは、ポリシーに反することになります。これは、注意が必要かもしれません。

まとめ

一般社団法人日本新聞協会の見解が出されたのは、今から20年以上も過去のことであり、環境は大きく変わっています。

新聞社は従来の紙媒体のみの体制を改め、2000年代にYahoo!ニュースに進出しました。読者はYahoo!ニュースを通じて質の高い新聞社の記事が読めるようになり、その人気が高まった現在では、新聞社の記事を配信するライブドアニュースやLINEニュースといった多くのネットニュースサービスが運営されています。

さらに、新聞社でも独自に電子版サービスを開始し、読者の囲い込みを行っています。例えば、2010年にサービスが開始された「日経電子版」は、スマホやタブレットといったビジネスシーンでの親和性が功を奏し、70万部の購読を獲得しており、各記事をWebサイトでも見ることが出来るようになっています。

そのような背景もあり、URLを共有することで、複製することなく、同じ情報にアクセスできるような環境も整いつつあります。複製や共有という言葉の定義も不明瞭な部分もあり、戸惑うこともあるかもしれません。

しかし、いちばん大事なのは、新聞記事は著作権に保護されているものであるということです。気づかぬうちに著作権を侵害していたということのないように、慎重に著作物と接していきましょう。

参考資料
リンクポリシー(日本経済新聞)
著作権について(日本経済新聞)
著作権について(朝日新聞デジタル)
新聞著作権協議会とは?(新聞著作権協議会)
ネットワーク上の著作権について(一般社団法人日本新聞協会)

デジタルリスクラボ編集部


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