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ポリティカルコレクトネスは、炎上の火種?ポリコレとは?

SNSやWeb上の炎上は日常茶飯事で発生しています。炎上の火種にもなりやすい「ポリコレ」。皆さんは、正しく理解しているでしょうか?グローバル化や多様化の進む現代では、必要不可欠な「ポリコレ」の視点について紹介します。

ポリコレとは

みなさん、ポリコレという言葉を知っていますか?ポリコレとはポリティカルコレクトネスの略称です。英語では、political correctnessと記載し、PCと表現する場合もあります。日本語では「政治的正しさ」と訳します。

具体的には、偏見が生じうる表現や社会制度などをより中立的で差別のないものに変えるべきだという考え方を指します。もう少し理解を深めるために、ポリコレの歴史を紐解いてみましょう。

SNSが原因?何気ない投稿がパワハラ、セクハラに…SNS上で「うっかり口が滑った」発言が、瞬く間に世間に広まり、いっせいにクレームなどが集中。ネット上では大炎上…昨今、SNS上で良く見られるようになったこの光景。当事者として考えるとそのリスクは計り知れません。企業や団体のアカウント、責任ある立場の人のコメントがやり玉にあげられ「炎上」するケースも多々起きています。...

海外でのポリコレの歴史

実は、ポリコレはアメリカでの人権意識の高まりに端を発しています。アメリカは人種のるつぼと言われていますが、1980年代までWASP(白人、アングロサクソン、プロテスタント)が社会の中心に君臨し、社会的少数派(マイノリティ)との衝突が絶えませんでした。特に社会的少数派の人々の呼称は「政治的な正しさ」に欠けるものが多く、そうした状況を容認する社会的背景が問題を助長していました。

そこで、1980年代以降、いままでインディアンとよばれていた先住民族をネイティブ・アメリカンと呼称したりするなど、マイノリティに対する偏見や先入観を由来とする名前を「政治的正しさ」に基づいて変更する動きが強まりました。

一部では、歴史上の偉人として取り上げられていた人物の行動や決断も、ポリコレの観点から批判を受けているケースもあります。現在では、ジェンダー・宗教・人種・ハンディキャップなど多岐にわたってポリコレの考え方が取り入れられています。

「らしさ」の歴史とポリコレの立場

日本でも、世界で進むポリコレの影響を受けて、実際に職業名や名称が変わったものがいくつかあります。以下のような例は、皆さんもはっと思うことも多いのではないでしょうか。

看護婦、看護士→看護師
2002年の保健師助産師看護師法改正にともない、変更。

保母→保育士
1999年の児童福祉法改正で変更。

スチュワーデス→客室乗務員、キャビンアテンダント、フライトアテンダント
1996年に日本航空がスチュワーデスの呼称を廃止し、他社もそれに追随。

これらの変更にはもともと「女性がする仕事」だと捉えられていた職業が男性にも間口が広がり、名称が改められた背景があります。もう少し、日本でのポリコレの歴史を深堀りしていきましょう。

昔でいえば、男性は外に出て働き、女性は家の中で家事をするという伝統的な役割分担がありました。高度経済成長期になるとその傾向はますます強まりましたが、1980年代の低成長時代やバブル崩壊とともに核家族化が進行し、女性もパートなどをして夫とともに共働きする世帯が増えました。

また、1985年成立の男女雇用機会均等法は、そうした従来の性別から役割をあてはめる考え方を一新させる追い風となりました。そして、1989年にはセクハラが流行語に選ばれ、ますます「女性らしさ」を押し付けようとする考え方との摩擦が生じるようになってきました。

現在の「マタニティハラスメント(出産を機に会社側が女性を退職させようとするハラスメント)」や「パワハラ(しごきや暴力など昔の部活や軍隊のような非生産的な仕組みで部下を教育しようとすること)」なども、女性の働き方が変わり、結婚や出産を経て仕事を続ける人が増えたことや、体罰が法的に禁止されるなどの時代の変化によって生まれた言葉です。

日本だけではありませんが、「女性らしさ」「男性らしさ」にかかわらず、社会の価値観が大きく変化を遂げている現在では、そうした「らしさ」といった固定観念を捨てていく必要があります。「昔はこうだった」という押し付けが息苦しさを生み出し、組織や社会の息苦しさ、そしてハラスメントを生み出してしまう原因となります。

このような日本社会の変化も、ポリコレの影響を受けていると言えます。

ポリコレとSNS炎上

実は、SNS炎上の火種として、ポリコレの概念に抵触するものも多く散見されます。SNSの発達と日本におけるポリコレの浸透によって、企業や著名人の発信に批判の声が集まった事例もあります。昔は許容されていたかもしれない発言も、SNSによる情報拡散のスピードが爆発的に増加した現在では、取り返しのつかない事態を招くおそれもあります。

例えば、下記のような事例が挙げられます。

・人種差別と受け取られかねない表現
(例)日用品や食品メーカーCMの肌の色の表現が人種差別と批判されるケース

・性的搾取ともとれる表現
(例)政治家やお笑い芸人による女性軽視の発言が批判されるケース

・国籍に対する偏見
(例)外国籍労働者に対する待遇や人事評価、業務内容に偏見があると批判されるケース

ポリコレの概念に抵触する発言や表現は、瞬く間にネット上に拡散し、批判の的になる可能性もあります。企業のプロモーション実施時や代表者として発言を行う際には、大衆からの注目が集まります。だからこそ、ポリコレの概念にそった発信を行っているのかを確認しながら、実施することをおすすめします。

 

デジタルリスクラボ編集部


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