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みんしゅうの口コミは、削除できる?みんしゅうが就活生に与える影響と対策

日本は、少子高齢化を迎え、生産労働人口が減少しています。そのような人手不足を背景とし、就職活動の売り手市場は続いています。今や就活生が企業を選ぶ時代です。企業の採用担当者も自社がSNS上でどのように思われているのか、定期的にチェックしている方も多いのではないでしょうか。就活生から発信されるSNS上の口コミにはどんなものがあるのか、そしてそれらはどのような影響を与えうるのか、またその対策方法を今回は見ていきたいと思います。

就活生はどのようにSNSで情報収集するのか

スマートフォンが普及した2010年代前半から、就活生は複数のSNS上で友人とのコミュニケーションを行うようになってきました。また、レストランや旅行先の情報をSNSで収集するのと同様に、就活に関する情報交換や情報収集をSNS上で行うことも当たり前になってきました。

友人同士でLINEやスラックなどのチャットアプリを活用して、グループを作成し、一定のクローズドな環境で就活の情報交換を行うケースや、志望する企業で働く社員のTwitterやFacebookなどを探し出し、ブラックな労働環境ではないかなどの情報収集を行うケースなど様々な目的でSNSが活用されています。

その中でも今回は、1人の就活生の発言が周りの多くの就活生にも影響を与えうるオープンな環境の就活生SNS、「みんしゅう(みんなの就職活動日記)」について見ていきたいと思います。

就活生の強い味方「みんしゅう」

「みんしゅう」は、楽天株式会社が運営する就活特化型SNSです。全ユーザー数は、54万人です。(2020年3月現在)。この数字は2020年1月に行われた、大学入試センター試験の志願者数が55万人で有ることを考えると、ほとんどの就活生が「みんしゅう」に登録していることが考えられます。

「みんしゅう」の機能として主なものは、意見交換用の掲示板、インターンや面接の経験談、ESや志望動機といった情報の共有があります。日本を代表する企業の掲示板では書き込み総数が1万を超えるケースもあり、就活生たちの情報武装の強力な情報源になっています。

どのような情報が掲示板に溢れるのでしょうか。就職活動の時期になると、選考結果に一喜一憂する就活生の書き込みであふれ返ります。その中には選考に落ちた腹いせなのか、企業に悪態をつく書き込みや、根拠のない誹謗中傷のような書き込みも見受けられます。
毎年ハラハラしながら、自社の書き込みをチェックしている採用担当者の方もいるのではないでしょうか。一方で、その口コミがどれだけの影響を与えているのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

普段からSNSに接し、匿名を含む不特定多数の情報を収集し、意思決定を行っている今どきの就活生にこのような書き込みがどのような影響をもたらすのでしょうか。Twitterを活用して、学生の声を聞いてみました。

ネガティブな書き込みが就活生に与える影響

就活生494人を対象に「みんしゅうでネガティブな書き込みを見てどうしたか」をアンケート調査しました。

調査概要
対象者:Twitterを利用する就活生494人
実施方法:東京都内の大学に通う大学生が自らのTwitterアカウント(フォロワー約600)でアンケートを呼びかけ
期間:(2020年3月9日~3月10日)

質問内容:
みんしゅうでネガティブな書き込みを見て、どのような行動をとったか。
(全体総数:494人)

調査結果:
内定を辞退したことがある:20人(4%)
エントリーはしたが、イメージは悪くなった:163人(33%)
エントリーを辞めたことがある:115人(23%)
特に何も思わなかった:198人(40%)

ご覧のとおり、約6割の就活生がネガティブな書き込みを見て、企業に対してマイナスイメージを持ったことが見て取れます。
実際に2割以上の就活生がエントリーを取りやめたというのは、衝撃の数字ではないでしょうか。エントリーを検討している企業の掲示板で、ネガティブな書き込みがされた場合、就活生に大きなインパクトを与えているといえそうです。

実際にどのような口コミが掲示板に書き込まれるのか

ざっくりとした選考方法や選考状況などの体験内容が書き込まれるケースが大半ですが、企業に対する称賛やお礼、批判的な投稿にはどのようなものがあるのでしょうか。一部をご紹介します。

企業へのポジティブな口コミの事例
・お祈りメールで懇切丁寧なフィードバックをくれた
・自社製品をお礼として不採用者に郵送で贈った

企業へのネガティブな口コミの事例
・最終面接手前まで進んだのに短文のお祈りメールがきて幻滅した。
・学生の発言に対して鼻で笑った面接官がいた。人間性を疑う。
・選考の合否連絡もなくサイレントで落とされた。

上記のようなネガティブな口コミを発見した場合、削除を運営側に依頼することは出来るのでしょうか。

誹謗中傷の削除は可能?

実は、誹謗中傷の書き込みは個別に削除することができます。誹謗中傷の書き込みを見つけた後、削除申請フォームから理由を添えて申請すると、運営側が削除します。

「みんしゅう」の削除申請方法

「みんしゅう」の削除申請方法は、下記です。

0.禁止行為に当たる投稿を発見
1.下記フォームから削除申請を実施
ポイントは、理由を禁止行為に合うように適切に明記することです。
削除依頼フォーム
2.運営側が確認し、問題なければ削除

一方で、事実に基づいた書き込みは削除できないというルールがあります。みんしゅうが公式に提示している書き込みが問題ない例と削除対象になる例をみていきましょう。

▼企業や所属従業員への誹謗中傷行為(一部抜粋)

OK例(削除が認められない例)
○社の面接に行ったんだけど、「たいしたことないね」って言われました。
面接でこんなことあるなら、入社しようとは思わなくなるよね。

OK例(削除が認められない例)
最終面接時に「是非、一緒に働きましょう」と言われたのに、最終選考で落とされました。
落とすならそんな事言って期待を持たせないで欲しい。

NG例(削除が認められる例)
○社の面接に行ったんだけど、「たいしたことないね」って言われました。
他にも「よく、そのレベルでエントリーしたね」って言われた人もいるらしい。
こんな会社に就職したら一生社畜として過ごすことになりそうだから受けるの辞めたほうがいいよ!!みんな気をつけて。
理由:中傷単語を含み実体験ではなく、真実ではない可能性がある記載をしているため

NG例(削除が認められる例)
最終面接時に○○さんに「是非、一緒に働きましょう」って言ったくせに、最終選考で落とされました。
落とすんだったらそんな事言うなクソが!!!
理由:個人を特定し、誹謗しているため

(引用元:https://www.nikki.ne.jp/event/bbs_ex/
※「企業や所属従業員への誹謗中傷行為」以外にも、「メンバーへの誹謗中傷」や「個人情報」などの種類での削除申請が可能な書き込み具体例が記載

上記の例を見てみると、自社のイメージダウンに繋がる投稿を誹謗中傷であると指摘し、削除申請を行うことは、簡単ではありません。一部、「他人への誹謗中傷」や「他人の個人情報の開示」等の禁止行為に当たる可能性がある投稿は、削除が可能です。そのため、基本的には、削除することでブランドイメージを守るのではなく、投稿をされないように社内の対策を行うことを優先的に取り組んだほうが良さそうです。

なぜ簡単に削除できないのか

「みんしゅう」の投稿が容易に削除出来ないのは、下記の「掲示板書き込みガイドライン」の「みん就が考える有益な情報とは」の記載からも読み取れます。

みん就が考える有益な情報とは
1.内定を取るために役立つ情報
・選考情報の概要(採用ステップ・面接の雰囲気・服装 など)
・ノウハウの共有(面接日への備え・業種別の有効な志望動機・必須アイテム など)
・就学中の過ごし方(業界別/有利なゼミ・保有資格・先輩との関わり方 など)

2.入社する企業を選定するための情報
・企業の良い・悪いの具体的な情報
・社員の人柄や給与、福利厚生
・労働環境、転勤、配属部署等の実態 など

企業イメージ維持向上のために採用担当者が出来ること

よく見られるネガティブな口コミを整理していくと、口コミの種類には2つが有ることが分かります。それは、面接官に関する口コミと、採用担当者の不採用時の対応に関する口コミです。

ネガティブな口コミを減らし、ポジティブな口コミを増やしていくためにどのようなことが出来るでしょうか。

1:面接官の教育

採用面接を専門的に行う人事部のメンバー以外の面接官は、現場の優秀な社員や幹部候補生を抜擢しているケースが多いのではないでしょうか。優秀なメンバーあることと、面接慣れしていることは、別のスキルです。

面接官には簡単な説明を行うだけで、面接に関する教育が十分でない企業も多いと思います。もちろん、業務時間から面接の時間を割いて、参加してもらっている手前、人事としても教育時間をとることも難しいのも事実かと思います。
そのような場合でも、どのようなネガティブな口コミがなされているのか、そしてなぜそのような口コミがなされているのかを共有することで、注意点を伝え、一定防ぐことは可能と想定されます。

2:不採用時の対応

就活生は、就活時期に多くの企業にエントリーし、同時期に様々な企業から不採用通知を受け取る環境にいます。だからこそ、他社と比較することが出来ます。どうしても、手厚い対応をしてくれた企業と比較されてしまうといえます。
同業他社がどのような対応を行っているのか、人事担当者同士で情報交換を行うことや、評判の良い企業の「みんしゅう」掲示板から情報収集を行い、対応の改善を行うことも出来ます。

社内の取り組みで、ネガティブな口コミを見るとエントリーを取りやめる2割の就活生からのエントリーを獲得し、より優秀な自社に合う就活生を獲得出来る可能性があると考えると、上記の2つは今すぐにでも取り組むことが出来ることです。

エントリー、内定辞退を防ぐために大事なこと

ここまで、採用担当者が不安になる「みんしゅう」でのネガティブな口コミに対する取り組み方法を見てきました。上記のように「みんしゅう」というWebサイトの特性上、書き込まれた自社の評判を簡単に削除することは出来ず、いかにして候補者がポジティブな感情を持ってもらえるのかを考えて、対策を打つことが重要だと分かったのではないでしょうか。

採用担当者として、まずはどのように就活生がWebから情報を収集し、意思決定にどれだけ影響を与えているのかを理解することが一番大事です。そのうえで、社内への教育や就活生との接し方を考える必要があります。

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