研究員コラム

暮らしのデジタル化 -キャッシュレス篇-

2019年のユーキャン新語・流行語大賞では、「〇〇ペイ」や「軽減税率」とお金に纏わる言葉が2つもTOP10入りしました、急速に変わる私たちのお金の環境について、まとめてみました。

進むキャッシュレス化

最近、どこへ行ってもキャッシュレス決済ができるようになりました。
某有名テーマパークでも電子化が進み、チケットはスマホで購入、WEBチケットはQRコードと共に発行され、ファストパスはQRコードで発券!園内での飲食や購買もキャッシュレス決済が導入されています。近年日本で急速にキャッシュレス化が進んでいるように感じるのは何故なのでしょうか。

らいおん
らいおん
『一生現金派』と思っていましたが、その便利さにいとも簡単に日常生活にキャッシュレス決済を導入しました!立て替えたお金のやり取りがキャッシュレスだと、現金を持っていない、小銭を持っていないなども関係なく、手軽にいつでも1円単位で送金が行えることは凄く便利ですね。なぜ、キャッシュレス化が推進されているのか背景を少し見てみましょう。

キャッシュレス化の背景

キャッシュレス化の発端はアベノミクス「第三の矢」の成長戦略「日本再興戦略」改訂 2014で、“金融・資本市場の活性化”の取り組みの一つです。
更に、「日本再興戦略 2016」では、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催を踏まえ、外国人観光客を迎える上で、キャッシュレス環境を整備する必要があり、促進内容が記載されました。

翌年の「未来投資戦略2017」では、2027年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とするKPIが設けられています。つまり、政府の描く日本の成長戦略でも、キャッシュレス決済は重要な課題と捉えられていることが分かります。

一部では、東京オリンピックに向けた改革と捉えられている可能性もありますが、諸外国と比較して日本はキャッシュレス化が十分に浸透していないことが国の課題として認識されています。実際に、通貨の製造・流通にはコストが掛かり、キャッシュレス化は社会的なコストの低下にも繋がります。

キャッシュレス決済の種類

前項ではキャッシュレスの背景について簡単に触れました。
ここからは実際にキャッシュレスとは何のことか?について書いていきます。

キャッシュレス決済の手段は大きく分けて4種類あります。

① クレジットカード
② デビットカード
③ 電子マネー/プリペイドカード
④ QRコード(バーコード)

支払のタイミングも手段によって、様々で大きくは3種類に分けられます。

① クレジットカード:後払い
② デビットカード:即時払い
③ 電子マネー:前払い
④ QRコード:前・即時・後、決済連携の金融機関による

続いてセキュリティの点に関して、決済時の接触の可否に触れておく必要があります。

① クレジットカード:接触
② デビットカード:接触
③ 電子マネー:非接触
④ QRコード:非接触

接触型カードの場合、カードの磁気に書き込まれている情報を取り出すためには、カードを装置に通す必要があります。自身の手元から離れた場合、個人情報は簡単に入手出来てしまいます。

非接触型の電子マネーやプリペイドカードの場合、ICチップ自体に情報の送受信機能が備わっているため、装置を近づけるだけで情報を読み取られる可能性があります。

電子マネーやプリペイドカードに比べてQRコードやバーコード決済はセキュリティ上のリスクは低いと考えられますが、スマホ自体を紛失・盗難された場合は別です。
スマホそのものに対して十分なセキュリティを設定する必要があるといえます。

ポイント還元ってどういうこと?

現在キャンペーンが実施されており、キャッシュレス決済を活用すると還元され、最大で5%安く購入することが出来ます。
これは、消費税増税後の2019年10月から2020年6月までの9ヶ月間、キャッシュレスの促進とともに、景気対策の一環です。

上記のような私たち消費者への還元だけでなく、事業者に向けたキャッシュレス決済活用のための施策が行われています。店舗が決済事業者に支払う手数料の1/3を、決済事業者の決済端末導入費用の2/3を、キャッシュレス導入に伴うシステムや広報活動に関わる事務費用の一部を政府が負担しています。

事業者は、キャッシュレス決済の導入のために、必要な端末やシステムを購入しなければなりません。

中小零細企業にとって、初期投資は経営に影響を与えうる可能性があります。一方で、その障害さえなければ導入のハードルはかなり下がります。国が決済事業者へも加盟店への補助をしていることが、最近キャッシュレス決済の種類やキャッシュレスで支払できる店舗の増加にも大きな影響を与えたことは想像が容易です。

実際に11月末には、想定以上のキャッシュレス活用が進み、政府は1500億円程度の追加予算を盛り込むという報道がなされていました。キャッシュレス化が進んでいますが、良いことばかりなのでしょうか。

リスクという観点で、セキュリティ対策について見てみたいと思います。

キャッシュレス導入における事業者のセキュリティ対策

キャッシュレス化は購買の履歴が残るので、いつどこでいくら使ったのかをアプリ上でいつでも確認できるようになりました。この購入履歴は、事業者にとっては新しいサービスの貴重な情報源となる可能性があります。

キャッシュレスのメリットは私たちに新しいビジネスの可能性を与えてくれる身近な改革として捉えて良いでしょう。ただ、100%安全であるとは言い切れません。

記憶に新しいのは、不正利用が発覚し3か月で廃止となった『セブンペイ』ではないでしょうか。リスクを潰し切る前のリリースは、補助金制度により導入のハードルが低く、且つ他社もキャッシュレス決済事業を始めていることから、シェアを伸ばしたいというビジネス環境であったことは想像が容易です。

事業者はサービスの脆弱性を最小限にとどめる努力をする共に、もしも問題が発生してしまった場合を想定し、どのように利用者の被害を最小限に抑え、会社としてのブランドを守っていくのか、危機管理としての対策も講じておく必要があるのではないでしょうか。

らいおん
らいおん
政府の後押しもあり、今後日本中でキャッシュレス決済が普及していくことが考えられます。事業者もですが、利用する私たちも、新しい試みを取り入れる際には、享受できるメリットとセキュリティなどのデメリットを十分に整理した上で、利用することが求められているように感じます。その際には、どこからの情報なのか、誰からの情報なのかを確認して、自ら意思決定をしないといけないのかもしれません。
デジタルリスクラボ編集部


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