デジタルリスク事例

アナウンサーが炎上。その後の投稿削除が二次炎上へ。

2016年8月、某Jリーグチームのメインスポンサーをけなしたとして、このチームのマスコットガールを務めたことのある女性フリーアナウンサーが炎上しました。
今回はこの炎上をケーススタディとして、炎上時にやってはいけない対応について考えていきます。
※本記事は、2016年8月24日に公開された記事を一部再編集しております。

炎上の経緯

女性アナウンサーの行動経緯

某Jリーグチームのユニフォームにはメインスポンサーの企業名が大きくプリントされていました。女性アナウンサーは新宿でこのユニフォームを着たサポーターを見かけた際に「○○○(スポンサー名)恥ずかしい(笑)」と、このチームのメインスポンサーおよびユニフォームのデザインを批判していると取れる内容をTwitter上でつぶやき、非常識だと批判が殺到する事態となってしまいました。

騒動が大きくなると、女性アナウンサーはアカウントを非公開状態にして批判を免れようとしましたが、騒ぎは収まるどころか火に油を注ぐ形になってしまいました。

さらに事態を収束させようと、「慣れ親しんだユニフォームが東京に溢れている光景を目にし、懐かしく思ったと同時に、自身の過去を思い出し照れくさく感じた」との旨の手書きの謝罪文を投稿しましたが、「謝罪になっていない」といった批判が続き、二次炎上を招いてしまう事態となりました。

騒動後の対応にも大きな問題

元マスコットガールという立場でありながら、こうした内容のつぶやきを行うこと自体が軽率な行為であることは言うまでもありませんが、この女性アナウンサーの騒動に発展した後の対応もスマートなものとは言えませんでした。

アカウントの非公開設定や、炎上した投稿を削除する行為は適切ではありません。アカウントを非公開や炎上した投稿の削除は、「不適切なつぶやきを隠蔽している」とネットユーザーに判断されてしまい、かえって批判が集まってしまう傾向にあります。また、炎上した投稿をスクショで保存をしているネットユーザーもいるため、拡散に拍車がかかる恐れもあります。

さらに今回の場合は、本来は事態を沈静化させるはずであった謝罪文によって、むしろ事態を悪化させたと言えるでしょう。謝罪文の内容がその場しのぎの言い訳のように感じられ、多くの人々を納得させるようなものではありませんでした。

また、謝罪文が手書きであったことも事態を悪化させる結果につながりました。この女性アナウンサーとしては、自筆で書くことで謝罪の誠意を示すつもりであったのかもしれませんが、Web上に謝罪を公開する際に手書きは一般的ではありません。書かれた字の巧拙など謝罪内容ではないところが話題になってしまうこともあり、手書きの謝罪文が適切であるとは言えません。

炎上後の対応が、その後を左右する

炎上が起こってしまった場合、炎上の内容に応じて、炎上してしまったメディアの対処、謝罪の形態、謝罪内容、タイミングなど、熟慮の上に細心の注意を払った対応が求められます。

その対応が適切であれば、炎上の被害を最小限に抑えることも可能です。その一方で、今回の女性アナウンサーのように対応を誤れば、いわゆる「二次炎上」と呼ばれる炎上被害の拡大を招いてしまうことも起こり得ます。

炎上時に適切な対応を取るために

今回のケースは、「とりあえずアカウントを非公開にする」などといった、比較的簡単に行うことが出来るものの、当座をしのぐことが目的の、長期的に見れば得策ではない対応をつい取ってしまい、事態を悪化させてしまったケースであるともいえます。炎上時は批判の声が殺到することもあり、こうした対応を取ってしまいがちです。

炎上が発生すると、冷静な判断を下すことが難しくなります。万が一の場合に意識を向け、あらかじめ対策を練るなどの準備をしておくことがソーシャルメディアと向き合う上では重要です。

今回は、個人の炎上のケースをご紹介しましたが、今回のように個人が炎上し、所属企業に炎上が飛び火することも想定されます。そのようなケースでは、企業も適切な対応を求められる可能性もあります。

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