昨今の不適切動画投稿やバイトテロを受けて、新入社員研修の一部として、ソーシャルメディアに関する研修を実施する企業も増えています。今回は、新入社員に指導すべきソーシャルメディアに関する4つのポイントを紹介します。
※本記事は、2019年3月22日に公開された記事を一部再編集しております。
広がる新入社員の炎上
2020年4月、とある新入社員が所属する企業が実施したオンライン上の新入社員研修の様子を撮影し、SNSにアップロードしました。またたく間に投稿がWeb上で拡散されました。
炎上した投稿は、ブランド物の箱やマスコットのぬいぐるみが置かれた机の上でパソコンを開いて動画を見ている様子なのですが、パソコンの画面上にわずかに企業名が見切れており、企業名が特定され炎上しました。投稿した新入社員は、今回の炎上でアカウントを削除しています。会社名は見切れていて、よく見なければその会社だと見当がつくひとは少なかったでしょう。
では、どうしてこのような炎上に繋がってしまったのでしょうか。
炎上の原因は匂わせ投稿?
現代人のコミュニケーションツールとして定着したSNSですが、昨今「SNS疲れ」と呼ばれる現象が起きる中で、「匂わせ投稿」に対して辟易し、ネガティブな感情をもつユーザーが増えています。具体的には、“異性との交際”や“一般的に大企業で働いている”ステータスを遠回しにアピールする投稿です。
今回のケースでは、新入社員が「自分が有名企業所属である」と、投稿をよく見ればわかる程度の遠回しのアピールを行ったこと(本人に意図があったかは不明)で、ユーザーから反感を買い炎上したと考えられます。この場合、新入社員の所属企業内での信用の低下だけでなく、所属企業の情報管理への疑念(研修を外部に漏らした事実)など、個人だけでなく、企業のレピュテーション低下にも繋がります。
このような新入社員による炎上が枚挙にいとまがありません。デジタルネイティブとも言われる新入社員が社会人となり、企業の看板を背負いながら生きていく中で、SNSとどのように付き合うべきなのでしょうか。
集合研修やオンライン研修は準備が大変…そんな企業様は研修を“マンガ”でやってみませんか?
→マンガでSNSリスクを学べる教育教材『コミプラ』の詳細はこちら
新入社員とSNS
少しSNSとデジタルネイティブと言われる新入社員の関係を見ていきたいと思います。
株式会社ICT総研の「2018年度のSNS利用動向に関する調査結果」によると、日本のSNS利用者は、7,523万人(普及率75%)となっています。LINEを中心にTwitterやInstagramなどのSNSを連絡手段、情報収集、暇つぶしなど様々な目的で利用しています。
また、自分の近況を知ってもらいたい「写真などの投稿を見てもらいたい」「自分の行動記録を残しておきたい」などを目的として、SNSを利用するユーザーが一定数いることも調査結果が示しています。(「2018年度のSNS利用動向に関する調査結果」 表5参照)
日本人全体でも、日常生活に必要不可欠なツールとなっているSNSですが、主に使いこなしている世代は、10代や20代の若者であることも自明かと思います。
まさに、今の新入社員達は学生の頃から当たり前のようにSNSを活用している世代です。一見、SNSを使いこなしているようにみえるかもしれませんが、SNSに関するリスクヘッジは十分なのでしょうか。逆に当たり前のツールだからこそ、危険性を正しく理解していないケースもあります。
ソーシャルメディア利用に関する4つの注意点
今回は、そのような若い世代の象徴でもある新入社員に指導すべきソーシャルメディア利用に関する4つのポイントをご紹介します。
個人の発言が会社の見解になりうることを伝える
ソーシャルメディアに投稿する際に気をつけるポイントの1つとして、個人の発言が会社の公式見解と誤解されてしまう可能性があることです。例えば、悪気なく愛社精神から自社の商品やサービスを称賛した記事を投稿したところ、「ステマ」ではないかと言われしまう例もあります。
悪気のない個人の投稿でも場合によっては、会社の公式見解と受け止められ、結果として企業が公式に謝罪することに至るケースも存在します。プロフィールや投稿内容からどこの企業に属しているのかが分かる状況のユーザーは、注意が必要です。
業務上知り得た情報の重要性を伝える
会社で業務上知り得た情報の中には、機密情報や、インサイダー情報に該当してしまうものも少なくありません。新入社員自ら、故意的に機密情報を公開してしまうことは、もってのほかですが、何気なく投稿したコメントや写真に機密情報が入っていたり、写真に写り込むことで情報漏えいに繋がることもあります。
実際、社員が自社に来店した有名人の来店情報を投稿したことによる炎上騒動も記憶にある人はいるのではないでしょうか。
発信内容の細部まで、リスクがないかを確認する習慣を持ってもらうために企業の持つ情報の重要性を伝えることが大事です。
公開範囲を設定の確認
Facebookでは公開範囲の設定を項目ごとに細かくカスタマイズすることが可能です。Twitterを鍵アカウントにするなど同様です。公開範囲を制限することで、不本意に全世界に発信されてしまうことを防ぎます。(友人がキャプチャを取り、全世界に発信することで公開範囲の設定が効力を失う可能性はありますが…)
ソーシャルメディアガイドラインやポリシーを周知する
自社関係者向けにソーシャルメディアのガイドラインを設けている企業も多いかと思います。そこには禁止事項や、留意すべきことが記載されているので、まずはしっかりと読み込み、理解を深めるよう周知しましょう。企業によっては厳格なルールを制定している場合もありますので、気づかずにルール違反をしていないか注意が必要です。
ソーシャルメディア利用について見直しを!
ソーシャルメディアの特徴はその拡散力です。仲間うちのつもりでもちょっとした原因で瞬く間に拡散して、取り消すことが出来なくなってしまいます。多くの人の目に触れる可能性があるということを念頭にSNSを活用したいものです。
この機会に、ご自身のソーシャルメディアの使用方法を見直してみてはいかがでしょうか?
カスタマーボイス|食品業界B社様
SNSリスク研修を活用した社内のSNSリスク文化の醸成
参考資料
「2018年度のSNS利用動向に関する調査結果」 株式会社ICT総研
デジタルリスクラボ編集部
デジタルリスクラボは、株式会社エルテスが、デジタルリスクから「企業成長」と「個人のキャリア」を守るためのメディアとして運営。株式会社エルテスが提供するデジタルリスク対策サービスは、こちら。