炎上事例

消えない「リベンジポルノ」の恐怖。SNSとの関係とは?

最近注目を浴びている「リベンジポルノ」。2014年10月の東京都三鷹市の女子高生ストーカー殺害事件によって一気に注目を浴び、広く世間に知られるようになりました。Web上では多くの「リベンジポルノ」による被害事例も発見され、多くのメディアが注意を喚起しています。しかし、こうした中で被害が減らないのはなぜなのでしょうか。そして、SNSとの関係を考察していきたいと思います。
※本記事は、2014年11月21日に公開された記事を一部再編集しております。

2014年「リベンジポルノ防止法」成立

上述の事件を受けて、2014年11月19日(水)にリベンジポルノ防止法(※正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案」)が成立しました。

「リベンジポルノ」とは
恋人や配偶者との関係が破たんした際、交際中に撮影したわいせつな写真・動画などをインターネット上に流出させる、嫌がらせ行為のことを指します。

そんなことする人いるの?と思った方もいるかもしれませんが、近年になってリベンジポルノが多発し、その影響が深刻化しています。

警察庁発表の「令和元年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」によると、リベンジポルノ法が成立後、リベンジポルノに関する相談件数は増加しており、2019年には相談等の件数は1479件に登ったとのことです。1日に換算すると、4件の相談等が寄せられている計算になります。

また、実際に「画像を公開された」という件数も、2019年は272件に及び、非常に大きな被害にも繋がっています。

このような要因としては、インターネットや撮影機能のあるスマートフォンの普及により、一般のユーザーの情報発信が容易になったことが挙げられます。また、ケータイやスマホでの撮影が主流になったため、人には見せられないような写真も気軽に撮影する人が増えていることもその一つです。一昔前に、写真フィルムを現像に出していた環境と比較すると容易さは、一目瞭然でしょう。

そのような背景もあり、写真や動画を取るハードルが下がり、リベンジポルノのリスクが高まっていると言えそうです。

こうした環境の中で頻発しているリベンジポルノですが、これまでは直接的に加害者を罰する法律はなく、「わいせつ物公然陳列罪」や「名誉毀損罪」、「ストーカー規制法」等によってある程度の法規制がされてきました。ようやく今回「リベンジポルノ防止法」が成立したことで、取締りと罰則がより厳格化されることになります。

具体的に法案へは、下記のように記載されています。

「第三者が撮影対象者を特定できる方法で電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。また、この方法で私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も同様とする。さらに、このような行為をさせる目的で私事性的画像記録等を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」(法律案より抜粋/※1)

つまり、本人の許可なく、第三者が映っている人物を特定できてしまう下記のような行為が処罰の対象となっています。

①不特定の人に提供した者

②多数の人に提供した者

③不特定の人に情報発信した者

④多数の方に情報発信した者

⑤①~④をする人にコンテンツを提供した悪意の第三者

「リベンジポルノを直接的に処罰する法律がある」という認知が広まることにより、リベンジポルノを抑制したり、組織的な対応を取り得る体制を整えたりといった効果が期待されます。

被害を未然に防ぐ・拡散しないためにできること

リベンジポルノの被害に遭わないためには、そのような写真・動画を撮影しない・させないということに尽きます。しかし、本人も無意識に被害を生んだり、拡散に参加して加害者になっていたり、といったことがあり得るのがリベンジポルノの怖いところでもあります。

例えばTwitterで見つけたリベンジポルノかもしれないツイートをリツイートした人は処罰の対象となるのでしょうか。

週刊誌に芸能人のリベンジポルノと思われる記事が掲載されたら、法律に従って、発行した雑誌社とそこに情報提供した個人の方は処罰の対象となるのでしょうか。

日本は判例法を重視するので、実際に訴訟が起きないと正直なところわかりません。

では、無意識に被害者や加害者になることを防ぐためにできることはないのか。

まずは、インターネット・リテラシー教育をしっかりと行うことが必要ではないでしょうか。その際は、「拡散することも犯罪になり得る」ということをきちんと教える必要があります。「自分が最初に公開したわけではなく、公開されている情報を拡散しただけ」というのは、法的には通りません。

拡散する行為も、自らわいせつ物を公然と陳列したり、他人の名誉を毀損したりするものと評価することができるため、最初に公開した行為と同じように処罰される危険があるのです。

教育により一人一人がネットリテラシーをきちんと持つことができれば、安易な拡散行為に荷担する人物も減り、被害の拡大防止にも寄与するのではないでしょうか。SNSやネットの怖さは、知っているようで、しっかり理解できていない方も多いように感じます。

被害者が切望するのは、記事や画像の「削除」

リベンジポルノの被害者には、犯人を処罰して欲しいという気持ちだけでなく、まず何より公開された画像等をネット上から削除したいという気持ちが強くあります。リベンジポルノはネット掲示板などに投稿されることが多いですが、通常、自由に削除をすることはできません。そのため、削除をするためにはサイト管理者、またはサイト運営会社、あるいはサーバ管理会社に削除を依頼していくことになります。

しかしながら一度公開され、画像や動画が個人で保存されてしまうと、完全に削除することは不可能になってしまいます。ですから、ここで重要になってくるのはスピーディーな事後対応、つまり削除までの期間をなるべく短くするということです。「プロバイダ責任制限法」では被害者・被害者の遺族がISP(インターネット・サービス・プロバイダ)に対し画像の削除を申し出た場合、投稿した側から7日を経過しても反論がなければ削除できるとなっていました。そして「リベンジポルノ防止法」では、この期間を2日に短縮するとしています。

この依頼によって削除してくれるところはそれなりにありますが、応じてくれないところもあります。また、短期間で急速に拡散してしまった場合、掲示板やサイトごとに削除申請をしなければならず、実質的に2日間ですべての削除を行うことは難しいでしょう。

「プロバイダ責任制限法」改正の動き

SNS上での誹謗中傷が命までを奪う事件が発生したことを発端に、従来の「プロバイダ責任制限法」をより簡素的な内容に改正していこうという動きが見られます。

「プロバイダ責任制限法」改正の動きは、誹謗中傷だけでなく、リベンジポルノの被害者やリベンジポルノのリスクに直面しうる方々に、一つの光になりうると考えられます。

一方で、上記でも述べていますが、デジタル化によってスクリーンショット等の技術が発達し、一度公開されてしまった画像や動画を完全に削除し、回収し切ることは非常に困難ではあります。

画像や動画を容易に撮影できるデジタル社会だからこそ、リベンジポルノのリスクを多くの方がしっかりと把握頂き、少しでも被害が少なくなることを願います。

デジタルリスクラボ編集部


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