今、社会問題となっている「不適切動画」ですが、自分には関係がないとお考えではないでしょうか?
いつものお店で不適切な行為が起きているかもしれません。また、何気なくタイムラインに流れてきた投稿をシェアし、いつの間にか加害者になっている可能性もあります。はたまた、知らぬ間に自社が影響を受けるかもしれません。
今回は、いつどこで発生するか分からないデジタルリスクに対して、企業ブランドを守るため対策をご紹介します。
※本記事は、2019年2月21日に公開された記事を一部再編集しております。
デジタルリスクを0にすることは、限りなく難しい。
皆さん、ご存知の通り、WEBの世界は、想像以上のスピードで拡大し、世界のデータ量は、年々増加しています。総務省が取りまとめる日本の総ダウンロードトラヒックは、2014年以降急速に伸びており、2016年5月には、2年前に比べ、2.3倍以上のデータ量になっています。(※1)
そうではありません。個人の嗜好のセグメント化が進み、似た嗜好の人々が共通の情報にアクセスしているのです。情報消費の多様化が進んでいます。
Twitterのアクティブユーザーは、4500万人と言われています。(※2)
先日、タレントのベッキーさんの結婚報告に関するツイートは、30万件を超える“いいね“が記録されました。多くの方々が祝福していますが、国内のTwitterのアクティブユーザー数から見ると、1%にも満たない数値です。
事実、アクティブユーザーであっても、このツイートを見たことがない方も多いのではないでしょうか。おそらくこのツイートを目にしたのは、ベッキーさんのファンや芸能人情報に興味のある方、野球にも興味のある方といったセグメントが出来ているのではないでしょうか。
バズっていると言われるツイートですら、セグメント外のユーザーからすると知らないという状況なので、企業が被害を受けうるSNSの投稿を検知することは、大海原で探しものをしている状況と言えます。
そのような状況で、デジタルリスクを0にすることは、物理的に限りなく難しいと言えます。
ただし、リスクを下げることは出来る
しかしながら、複数の対策を複合的に活用することで、リスクを下げることは可能です。
今回の従業員の不適切動画を例にもう少し深く考察してみましょう。
企業経営におけるリスク対策のポイントは3つあります。
1.不適切な行為が行える状況を作らない
2.動画や写真を撮らせず、発信させない
3.不適切投稿を早期に検知し、先手の対応を行う
1.不適切な行為が行える状況を作らない
今回の不適切動画の騒動が頻発している業界は、飲食や小売業という多くの非正規社員の活躍により成り立っているサービスです。それらの業界には大きく2つのアプローチが考えられます。
1つ目は、非正規社員に対して、研修等を通じて経営への参画を促し、当事者意識を醸成させるというアプローチです。
2つ目は、正規社員が現場責任者として、マネジメント業務を行える環境を整えることやマネジメント能力を養成する研修を行うアプローチがあります。(SNSリスク研修の活用例記載ページ)
2.動画や写真を撮らせず、発信させない
不適切な行為を行っていること自体が企業の信用を失墜させるものですので、本質的な解決ではありませんが、リスクを低減するという観点において2つの方法を推奨しております。
1つ目は、デジタルリスクの理解を深めるために、社員全体にSNSに関する教育を実施する方法です。一度きりの研修ではなく、SNSは日々進化しているという認識を経営層が持ち、定期的な情報のアップデートの機会を持つことが重要になります。(SNSリスク研修の活用例記載ページ)
2つ目は、ソーシャルメディアポリシーを策定する方法です。理解を深める研修だけでなく、企業として統一されたルールを明文化し、全社で共有することが重要になります。(ソーシャルメディアポリシー策定支援例)
3.不適切投稿を早期に検知し、先手の対応を行う
その為、いち早く炎上を検知し発信の検討を行える体制を整えておく必要性があります。過去には、複数のメディアに拡散される前に炎上しているメディアで公式の謝罪を行ったことで、早期の鎮静化に成功した事例もあります。
また、一度WEB上に発信した投稿、更には他ユーザーにより複製された投稿を削除することは非常に難しく、将来的に残り続け、企業ブランドの毀損要因となってしまいます。
万が一、発信者が従業員の場合は、本人に状況を説明し拡散される前に削除することも可能なため、早期に検知することは非常に重要な初期対応の一つと言えます。
冒頭にお伝えした通り、デジタルリスクを0にすることは限りなく難しいですが、様々なアプローチによってリスクを下げることは出来ます。また、リスクが発生した場合も、迅速で適切な対応を行うことでブランド棄損を低減させることも十分可能です。
即効性のある解決方法はないので、長期的な目線で組織を巻き込んで日々対策を行うことが重要です。
【引用文献】
(※1)「情報通信白書29年度版」(総務省)2018年
(※2)「WE LOVE SOCIALE ~ 【2019年2月更新】人気SNSの国内&世界のユーザー数まとめ(Facebook、Twitter、Instagram、LINE)~」(株式会社コムニコ)2019年
【執筆】奥村高大 (おくむら たかひろ)
同志社大学卒業後、銀行に就職。その後、企業の経営課題解決を目的とするフリーランスのシェアリングサービスに従事し、2018年にエルテスに入社。事業推進Grにて、マーケティング業務を中心に、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。
デジタルリスクラボ編集部
デジタルリスクラボは、株式会社エルテスが、デジタルリスクから「企業成長」と「個人のキャリア」を守るためのメディアとして運営。株式会社エルテスが提供するデジタルリスク対策サービスは、こちら。