「よく利用するSNS?」は聞くとInstagramと挙げる人も多いのではないでしょうか。Instagramは、従来のSNSと異なり、画像や動画を掲載するSNSとなっています。しかし、写真を載せる際に注意しなければ個人情報が漏洩するなど、リスクが潜んでいます。今回はInstagramで投稿時に注意すべき点を紹介します。
SNSの中で存在感を増すInstagram
Instagramは、2012年にFacebookが買収し、2016年のストーリーズの実装などを経て、若い世代を中心に私たちの生活に浸透してきたSNSです。実際に、2019年夏に現役女子大生にインタビューした記事でも、LINEでなく、Instagramのダイレクトメッセージを利用して、友人とコミュニケーションを行うなど、SNSの中でのInstagramの存在感は強くなっていると考えられます。
一方で、TwitterやFacebookのようにシェア機能はなく、Instagram上での炎上を強く意識している方は多くないのではないでしょうか。表立って取り上げられることは少ないかも知れませんが、それでもInstagramの投稿による炎上は存在します。今回は、Instagramをきっかけとした炎上事例を紹介しながら、InstagramなどのSNSに画像や動画を掲載する注意点をまとめていきたいと思います。
Instagramの投稿画像で起きた炎上事例
Instagramで起きた炎上事例を紹介します。Instagram上でインフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングを実施した際の炎上や、投稿時に追記可能なハッシュタグに関する炎上事例が見られます。具体的に見ていきましょう。
炎上事例1
あるブランドのコンテンツで、特定のハッシュタグが付いているユーザー投稿を自社アカウントで掲載するプロモーションを実施しました。
「#〇〇というハッシュタグをつけて投稿していただくと、弊社のアカウントで紹介させていただく場合があります。」として運営していましたが、指定したハッシュタグがブランド名であり、プロモーションを知らない人も利用してしまうようなハッシュタグが設定されていました。
そのため、自身の投稿が紹介されてほしくない人まで、掲載してしまいユーザーから「私の写真は無断転載NGです」とSNS上で投稿され、炎上に繋がりました。
炎上事例2
あるToC商材を取り扱うブランドは、Instagram上で多くの芸能人やインフルエンサーに依頼をして商品の宣伝を投稿していました。ただし、投稿に「もらいました」「提供されました」「PR」等、広告宣伝であることを説明する文言を記載しておらず、「これを使っています」「これのおかげで調子がいい」「おすすめ」といった、投稿者の自発的な推奨と誤認する表現になっていました。
しかしこれらの投稿はすべて同じハッシュタグがつけられ、同じ時期に投稿されたことから、明らかなステルスマーケティングであると批判を受け、炎上してしまいました。
他の事例では、ハッシュタグが付けられていたとしても、複数のインフルエンサーが一斉に商品を紹介し始めたことから、「信用なりません」「あからさますぎ」というコメントが多数寄せられ、炎上したケースもあります。
また、活用したインフルエンサーは、本人が本当に愛用している製品を紹介していたにも関わらず、突然広告宣伝を行ったことで、フォロワーの信頼を失ってしまい、炎上に繋がったケースもあります。
なぜ炎上は起きたのか
なぜこのような炎上が起きてしまったのでしょうか。Instagramにおける炎上事例を分析する中で、複数の特徴的な炎上原因が見えてきました。ポイントは画像です。
今回は、投稿時に気をつけるべきポイントを5つに分けて紹介します。
原因1:無断転載
他人が撮影・加工した画像を本人の許可なく勝手にInstagramに投稿した場合、著作権法違反になります。著作権は著作物を創造した時点で権利が発生します。著作者には、著作物を自分の意に反して勝手に改変されない同一性保持権という権利があるため、他人が勝手に加工・複製することもできません。
インスタの画像転載にはいくつか種類があり、リポストや埋め込み機能を使うと引用とみなされる場合が多いです。しかし、引用元の投稿が複製である場合もあるので、投稿者に確認をとってから引用するのが最も安全な方法と言えます。
原因2:ステルスマーケティング
ステルスマーケティングとは、その制作物や活動(動画像、文章、レビュー、口コミなど)が宣伝であると一般消費者に気づかれないように欺く宣伝行為です。ステマと表現される場合もあります。
消費者は、商品が本当に良いものなのか、効果のあるものなのかを知るために、SNS上の口コミを確認します。しかし、ステマは口コミや評判を偽装することに繋がります。インフルエンサーは報酬を受け取っており、商品のポジティブな面のみを伝えることになります。企業は、広告宣伝なのか、口コミ(本音)なのかを明確にしなければなりません。ステマ行為に対して、企業もインフルエンサーも批判を浴びることになります。
また、実際インフルエンサーが紹介するような効果がなかった場合には、批判を受ける可能性もあります。インフルエンサーマーケティングを行う場合は、広告であることを明記し細心の注意を払って行うことが必要となります。
原因3:他人の映り込み
写真や動画の撮影時、意図せず他人が映り込んでしまう場合があります。他人がうっかり映り込んでしまった写真をInstagramに投稿すると、肖像権の侵害となる場合があります。Instagramの投稿では、自分を映しているつもりの写真であっても、ガラスや鏡越しに他人が映り込んでしまっているケースがあります。
また、高解像度写真などでは瞳や眼鏡に写真を撮っている人が映ってまっていることもあります。イベントに参加した際の集合写真を掲載するケースでは、映っている方全てにSNS投稿の承諾を得ることが、最も安全なInstagramでの写真の投稿方法になります。
ただ、映り込んでいる人が特定できない、ぼかしてある写真の場合は肖像権の侵害にはなりません。そのため、写真を掲載する際には、「他人の映り込み」、「他人が特定できうるか」を確認し、万が一映ってしまった場合には「承諾を得る」または、「ぼかしをいれる」対応が必要になります。
原因4:他社商品
企業は、商標権を保有している場合、商標を専有的に利用し、権利を侵害する者に対して、侵害行為の差し止め、損害賠償等を請求できる権利を持っています。また、前述のように、著作権は、作品が創造されたタイミングで付与される権利で、創作者が保有しています。
商品、サービス、ロゴなどの著作物が写真に映り込んでいる場合、権利者の確認が必要になる場合があります。この場合も他人の映り込みと同様に意図していなくてもガラスや鏡越し、眼鏡にうつってしまっている場合があります。特定の商標がうつっている写真を投稿することは個人利用としては問題ないが、商用利用だと問題になってしまいます。そのため、企業が写真を投稿する前に自己商品以外がうつりこんでいないか確認する必要があります。
原因5:情報漏洩
何気なく投稿した写真や動画から個人情報が流出してしまう可能性があります。意図的でなくても、誤って個人情報が記載された画像等をInstagramに掲載されてしまうケースは、十分に考えられます。具体的には、地名や氏名が載っている写真、個人の顔が載っている写真、企画書が映り込んでいる写真などが挙げられます。
最近は、スマートフォンで撮影した写真の解像度も上がっており、映り込んでしまっている一見読み取れない情報も、読み取れてしまう危険性が高まっています。
また最近はSNS上で個人の所属する企業が特定されることもあります。取引先の人と一緒に取った写真を上げることで、機密にしていた業務提携が外部に知られる可能性などもありますので注意しましょう
まとめ
Instagramの利用者は年々増加しています。そのような影響を受けて、企業が公式アカウントを立ち上げてInstagramの投稿を行うケース、Instagram上に広告を配信するケース、Instagramとコラボして、プロモーションを行うケースなど様々な活用が広がり、担当者だけでなく、関係者も増えており、リスクを管理しきれていない可能性もあります。
今一度、Instagramだけでなく、写真や動画を掲載する際に炎上のリスクが有ることを理解し、そのために注意すべきことを徹底する体制を構築することをおすすめします。
デジタルリスクラボ編集部
デジタルリスクラボは、株式会社エルテスが、デジタルリスクから「企業成長」と「個人のキャリア」を守るためのメディアとして運営。株式会社エルテスが提供するデジタルリスク対策サービスは、こちら。