平成元年の流行語大賞で「セクシャル・ハラスメント」がノミネートされてから早30年以上。令和の時代にも様々なハラスメントが蔓延しています。今回は、ソーシャルメディア時代の新しいハラスメント「ソーハラ」に迫ります。
新しいハラスメント
「ソーハラ」という言葉、ご存知の方はどの程度いらっしゃるでしょうか?
Googleトレンドでは、「ソーハラ」は1週間の検索数が100件程度のまだまだ認知度は低い言葉ですが、少しずつ活用が広がってきています。
正式名称は、「ソーシャルメディア・ハラスメント」です。SNSを通じたハラスメント(嫌がらせ)を意味します。
ICT総研の調べによると、国内のSNS利用者は、2018年末に7523万人に達し、LINEを中心に様々なSNSを利用していることが読み取れます。もはや、SNSは私たちの生活に必要不可欠であり、ビジネスの現場でもSNSが活用されているケースも少なくありません。
出典:ICT総研
ここで、「ソーハラ」について、話を戻しますが、え?そんなハラスメントがあるの?と思った方は、要注意かもしれません。もしかすると、何気ない行動で友人や部下に「ソーハラ」を行ってしまっているかもしれません。今回は、ビジネスの現場で起きる「ソーハラ」の具体例や、なぜ発生してしまうのかを整理していきたいと思います。
ソーハラとは?
具体的な例から、ソーハラとは何かを説明します。
(1) 社内の人から一方的に、SNSの友達申請、フォロー申請を送られる
・Facebookの友達申請を何度もされる。
・友達申請を拒否したことに対して、圧力を掛けられる
・LINEなどのプライベートの連絡先を執拗に聞かれる。
(2) SNSで投稿した内容への反応
・SNSで投稿した内容に対して、職場で嫌味を言われる
・SNSでの投稿内容を把握されている
・SNSの投稿にリアクションやコメントを毎回してくる
(3) 投稿内容に対するリアクションを強要される
・上司の投稿内容にコメントやいいねを強要される
・先輩の投稿内容に関して、職場で「見てないの?」と話題を振られる
このような嫌がらせに対して、嫌がらせと感じるケースとなんとも思わないケースは人によって様々かと思います。これは、その他のハラスメントと同様に、その行動の加減や受け手によって程度が異なるでしょう。
また、プライベートのSNSアカウントを全体公開にしている方や、仲の良い友人とだけ繋がっていたいと思っている方など、SNSへのスタンスによって受け取り手の印象は大きく変わるケースがあります。
面と向かったコミュニケーション同様に、SNS上でのコミュニケーションを相手によって変える必要があります。また直接のコミュニケーションとSNS上でのコミュニケーションが全く同じで良いという訳ではないことにも注意しなければなりません。
次に、ビジネス現場でのコミュニケーション方法の変化について考えてみたいと思います。
コミュニケーションのつもりが、ソーハラに
社内のコミュニケーションを円滑に行うことを課題と感じている方も多いのではないでしょうか。コミュニケーション円滑化のアプローチ方法の一つとして、業務以外の雑談などでコミュニケーションの場を持ち関係性を構築するといった方法を行う方もいらっしゃるかもしれません。
20年ほど前ならば、情報収集は新聞、娯楽はテレビと情報の多くは共通のチャネルで得られるものでした。ですが、最近は、様々なWebメディアや動画配信サービスなどの普及により、得られる情報の幅が広がったと考えられます。
そのため、コミュニケーションを図る際、相手が情報収集しているチャネル(よく使用しているチャネル)を知ることが共通の話題を探る手段の一つとして重要性が高まってきたのではないでしょうか。そのチャネルに大きく関わっているひとつに、SNSがあるでしょう。
SNSを通して相手がどういう人で、どういう考え方なのか、などを知ることが出来ます。また、相手の興味があることや、その他の交友関係も知ることが出来、共通項を見つけ出すことために有効な情報になると思います。
相手のことを理解したい、関係性を良くしたいという思いから、SNSを使っているかを聞き、SNS上で繋がりを持とうとし、SNS上でリアクションする人もいるのではないでしょうか。ですが、相手やその時の状況によって、その思いが裏目になる危険性があるとも意識しておきましょう。
まとめ
手軽に相手のことを理解でき、コミュニケーションがとれるSNSだからこそ、相手との距離が縮まったと安易に感じてしまいます。もちろん、SNSを介して本当に相手との距離が縮まる場合もあります。ですが、リアルはリアル、SNSはSNSと分けている人からするとその限りではないでしょう。
定期的に自身の行動を振り返って、「ソーハラ」になっていないかチェックしてみるのも良いかもしれません。
【執筆】奥村高大 (おくむら たかひろ)
同志社大学卒業後、銀行に就職。その後、企業の経営課題解決を目的とするフリーランスのシェアリングサービスに従事し、2018年にエルテスに入社。事業推進Grにて、マーケティング業務を中心に、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆を行う。
デジタルリスクラボ編集部
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