Webメディア上に飛び交う様々な企業のデマや噂話。真実味のない話だったとしても、時として連鎖的に広がり、多くの人々を巻き込み、企業にネガティブな影響を及ぼす場合もあります。今回は、デマ、風評が一瞬にして大きく広がる例と、その対応について見ていきましょう。
※本記事は、2013年12月24日に公開された記事を一部再編集しております。
自治体発表や新聞報道にもつながった大きなデマ
大きな事件や事故、災害などが起きると、Webメディアを利用して様々な情報を取得したり、発信したりするのが一般的となりつつあります。
こうしたメディアの普及が今、デマ、風評の伝播経路となり、企業に影響を与えようとしています。「デマ」により企業が対応に追われた次の例は、まだ記憶に新しい方が多いのではないでしょうか。
例:地震により発生した石油関連施設火災でのデマ
(1)発端
2011年3月11日の震災で、関東地方のある石油関連施設で火災発生。大きな炎と煙を巻き上げる。
(2)デマの拡散
2011年3月11~12日にかけて、この火災に関連するデマが発生し拡散。
施設の“関連人物”が情報源だとして「その火災とともに有害物質が雨と一緒に降ってくる」という情報がtwitter上で拡散。同時に、チェーンメールでも情報は広がった。
(3)企業の対応
当該企業はデマが大きく広がったことから、企業として正しい情報の発表に迫られる。
同日「有害物質が降るという事実はない」とホームページ上に掲載。
(4)止まらないデマの拡散
また同日、その企業の所在する自治体からもデマであることが発表された。大手新聞でも記事として取り上げられ、政府はこうしたデマ情報に対し「冷静な反応」を呼びかけた。
しかし、それからもしばらくは、この情報をデマと知らずに拡散する人々が相次いだ。
情報源が不明確でも、デマは広がりやすい
この例を「震災という特殊な状況下だからデマが広がった」と考えるのは早計です。
これは大きな話題となったケースですが、日々、twitter等SNSや2ちゃんねるをはじめとしたWebメディアには虚実定かではない情報が飛び交っています。
その中の、どの情報が、企業にとって影響を及ぼすかはまったくわからない、混沌とした状況と言えます。
こうしたことからWeb担当者が考えるべきは、ユーザーの情報リテラシーです。
情報の真偽を判断する目と言い換えてもよいかもしれませんが、ユーザーにそれを期待すべきではないことは明らかです。
つまり、真偽定かではないSNS上の情報を真に受け、真偽を確かめず拡散してしまい、その拡散した2次情報がリテラシーのないユーザーによってさらに拡散されるということが、これまでにも発生してきましたし、今後も起きうるものという認識が必要です。
確かに「ユーザーのリテラシー向上」というのも欠かせない問題ではありますが、ユーザーからすると、「デマ情報」の真偽は確かめようもなく、ある程度真に受けてしまいます。企業としては、「不確かなデマ情報が回っているけれど、自社とは無関係だ」という姿勢だと、思わぬリスクにつながりかねませんので、対策を講じる姿勢が重要になってきます。
では、例として、これまで発生し、大きく広がったデマの例をいくつか紹介しましょう。
これらの中には、目にしたことがあるものもあるのではないでしょうか?
・サイトに接続しにくくなっていてた大手SNS運営会社が「自己破産を申告した」というデマ。実際にはアクセス障害が発生していただけ。
・「百人以上子どもがいる」として、その子どもの人数分の子ども手当を支給を行った外国人がいる…というデマ。
批判の矛先は、その役所だけではなく時の政府にも向いた。
・とある芸能人が、ある事件の「犯人」だと10年近くもネット掲示板で誹謗中傷を受ける。その芸能人のブログのコメント欄も、その件に関する誹謗中傷が多く書き込まれた。
ほかにも、多くのデマの例がありますが、枚挙に暇がありません。ここで企業が認識すべきは、デマや誹謗中傷の伝播力が早く、そして広いこと。
ネット上にデマの痕跡は残り続ける
「人の噂も七十五日」と言いますが、情報に溢れる今日、噂が消費されるスピードはさらに速まっているのではないでしょうか。
しかし、広まったデマ(噂)は、いつまでもネット上に残り続け、何かのはずみで検索されたりすると、デマが再燃してしまうというケースも考えられるのです。
仮に「あの会社はブラック企業だ」「社長は社員に対してひどい扱いをしている」というようなデマが一度広がると、それは長期間にわたりWeb上でその企業を検索した時に、表示されてしまう可能性があります。
もし就職活動中の人や、新規取引を考える人がその情報を見たとしたら…企業にとってネガティブな影響しか与えないでしょう。このデマが記録されるという点が、もう1つの大きな注意点です。
――もはや今日、これだけWebメディアが普及した以上、デマを防ぐことは難しいと考えられます。そのために企業がすべき対策としては、下記のようなポイントが挙げられます。
・拡散しそうなデマを発見して大きく広がらないように対応する
デマの発生・醸成の危険度の高いWebメディア、特にtwitter等のSNSや2ちゃんねる等を常時監視し、適切に対応できるように用意しておく。
・デマが広がった場合に、企業として適切なメッセージを出す準備をする
企業から一次情報を出さなければならないデマや風評のレベルについて検討。どのような形でメッセージを出すのか準備したり、それを決定するための社内体制などを整備したりしておく。
・Web上に残り続ける情報を、検索されにくい状態にする
デマ、風評などネガティブ情報が、検索されても上位にランクされないような対策を行う。
しかし、こうした対応は社内だけでは難しい部分があるかもしれません。外部に信頼できるパートナーを見つけ、対策をともに考えることも必要なのです。
ネガティブな情報は、皆さんの記憶にも残りやすくなる傾向があります。1つのネガティブな情報を看過しないことが自社のブランドを守るために必要な事かもしれません。
デジタルタトゥーとして、情報が残り続けてしまうと企業にとっても対策を行うべきケースも想定されます。売上や採用にも間接的に影響しているケースもあります。
ネガティブな情報がどの程度露出しているのか、SNSで話題にされているのかをチェックした上で、デジタルタトゥーへの対策を検討する必要性もあります。
デジタルリスクラボ編集部
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