ネット炎上件数は例年増加し続けており、エルテスの炎上データベースによると、2015年7月は昨年比20%増、8月は26%増となりました。その中でも約半数を占めるのが「一般的倫理観・道徳観」から逸脱した言動に対する批判です。これは、日本だけに特異なことではありません。今回は、海外の炎上事例を紹介します。
※本記事は、2015年10月28日に公開された記事を一部再編集しております。
倫理観や道徳観はセンシティブ
日本でも、倫理観や道徳観の言動への批判は、珍しいことではありません。しかし、人種やジェンダーといったテーマにおいては海外のほうが厳しく批判される傾向にあります。
そういった人種やジェンダーなどの炎上しやすいトピック、また炎上しやすい人にも特徴があります。それでは実際に起きた海外でのTwitter炎上事例をみてみましょう。
海外でのTwitter炎上
2013年12月20日、大手ネット会社IAC/(InterActiveCorp)社の広報担当の女性が南アフリカ行きの飛行機に乗る直前にTwitterに投稿したツイートが大炎上しました。
問題のツイートは次の内容です。
“Going to Africa. Hope I don’t get AIDS. Just kidding. I’m white!”
(今からアフリカに行くけど、エイズにならないことを祈るわ。なんてね、ただの冗談よ。だって私は白人だから!)
これは「人種差別」として彼女が飛行機に乗っている間に世界中に拡散されることになります。彼女のメッセージボックスは着陸直後に無数の知らない人たちからの痛烈な批判メッセージでいっぱいとなり、結局彼女は職を失いました。
炎上に繋がりやすい火種は?
「ネット炎上」はあらゆる人のあらゆる背景から発生します。
ネット炎上の事例を見ていくと、比較的炎上しやすいトピックや炎上しやすい人には、傾向があることが分かってきました。
炎上に繋がりやすいトピック
● 人種差別、男女差別
● 領土、戦争責任
● 食品衛生
● 個人情報漏えい
食品や個人情報に関するトピックは単純に性質上敏感になるというところが大きく、人種差別や男女差別、領土、戦争責任というトピックは意見や価値観の違いから、炎上ツイートへの批判意見に対してさらに賛成・反対などの議論が沸き起こることで増長するメカニズムがあります。
炎上を引き起こしやすい人
また同様に、炎上しやすい人、というのも次のように存在します。
● タレントや文化人などの有名人
● 政治家
● 大企業の社員
●(炎上したトピックに関する)専門家
上に例にあげた彼女の炎上ツイートは、拡散されてすぐに身元が特定されました。人種というトピックに触れてしまったこと、大手企業に勤務していること、さらに広報という職種といくつもの要素が重なって、インターネット上で格好の炎上ターゲットとなってしまったのです。
SNSに対する当事者意識
SNSは誰でも手軽に使える分、つい不注意になりがちですが、誰でも手軽に使えるということは、自分が投稿した情報の受け手は世界中に無数にいるということです。実際、上の事例に出てくる女性のフォロワー数はわずか200程度でしたが、拡散や転載により、世界中の人の目に触れることになりました。
今回の例では個人アカウントの炎上例でしたが、企業名が特定されるとその企業に対しても何らかの対応が求められます。この場合は、会社側が即刻「遺憾」コメントをだし、「解雇」を宣告しました。会社アカウントであればさらに厳しい目で見られます。
SNSと企業はもはや切り離せません。社員一人ひとりのSNSに対する当事者意識、たった一言が企業に与える損害を周知していくことが求められます。